2023 Fiscal Year Annual Research Report
肥満状態の脂肪細胞におけるβ-アドレナリンシグナル減弱機構の解明と食品科学的応用
Project/Area Number |
22K20572
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川原崎 聡子 京都大学, 農学研究科, 特定研究員 (60965169)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | UCP1 / HCAR1 / β-アドレナリンシグナル / 乳酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではβ-アドレナリン刺激時のUcp1発現誘導の調節に寄与する候補遺伝子として見出したヒドロキシカルボン酸受容体1 (HCAR1) のUCP1に対する寄与の解明を目的として検討を行っている。昨年度までにHCAR1の合成アゴニストおよび乳酸がβ-アドレナリンシグナル経路の活性の抑制を介して発現を抑制していることが示唆された。 本年度は、細胞実験においては、昨年度得られた低酸素条件におけるβ-アドレナリン受容体刺激下でのUcp1発現量の減少効果がHCAR1のノックダウンによって減弱する結果が得られた。培養上清中の乳酸濃度は低酸素下で増加しており、低酸素条件でのβ-アドレナリン受容体刺激下でのUcp1発現量の減少は乳酸産生の亢進によるHCAR1の活性化が一因であることが示唆された。 動物実験においては、HCAR1の合成アゴニスト3,5-dihydroxybenzoic acid (DBA) の投与実験を行った。野生型マウスにDBAを投与したところ、寒冷刺激下での体表温および直腸温が対照マウスと比較して低下した。また、脂肪細胞に多く発現するβ3-アドレナリン受容体のアゴニストを投与した際の直腸温の上昇がDBAの投与により有意に抑制された。これらの結果より、HCAR1の活性化は動物個体においてβ-アドレナリン刺激応答性の脂肪細胞における熱産生を抑制することが示唆された。 以上の結果から、HCAR1の活性化はβ-アドレナリンシグナルの抑制を介してUCP1の転写および活性の抑制に寄与していることが示唆された。
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[Presentation] β-アドレナリン刺激に対する応答性を指標とするUCP1発現調節遺伝子の探索および評価2024
Author(s)
川原﨑 聡子, 瀬尾 茂人, 岡松 優子, 高橋 春弥, 野村 亘, 神戸 大朋, 木村 和弘, 斉藤 昌之, 松田 秀雄, 井上 和生, 後藤 剛
Organizer
日本農芸化学会2024年度東京大会
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[Presentation] UCP1レポーター脂肪細胞株を用いたβ-アドレナリンシグナル調節遺伝子の探索2023
Author(s)
川原﨑 聡子, 瀬尾 茂人, 岡松 優子, 高橋 春弥, 野村 亘, 神戸 大朋, 木村 和弘, 斉藤 昌之, 松田 秀雄, 井上 和生, 後藤 剛
Organizer
第77回日本栄養・食糧学会大会
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[Presentation] 新規β-アドレナリン刺激応答性UCP1発現誘導調節遺伝子の探索および評価2023
Author(s)
川原﨑 聡子, 瀬尾 茂人, 岡松 優子, 高橋 春弥, 野村 亘, 神戸 大朋, 木村 和弘, 斉藤 昌之, 松田 秀雄, 井上 和生, 後藤 剛
Organizer
第44回日本肥満学会