2022 Fiscal Year Research-status Report
Flagella and TLR5-mediated symbiosis and co-evolution between gut commensal bacteria and host
Project/Area Number |
22K20576
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
鈴木 駿也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (50964227)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | べん毛 / TLR5 / 腸内細菌 / 共生 / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「腸内に共生する有べん毛細菌は、なぜ宿主免疫系に排除されないのか?」という問いに迫るために、ヒト腸内に共生する有べん毛細菌種がToll-like receptor 5 (TLR5)を介して炎症応答を誘導するのか、あるいは誘導しないのか、を徹底的に解明することを目的とした。本年度はべん毛関連遺伝子群をゲノム上に持ち、ヒト腸内常在菌として知られているLachnospiraceae科に属する細菌のべん毛が炎症応答を誘導するのかをin vitroで解析した。まず、菌株保存機関よりLachnospiraceae科の細菌を複数株入手し、運動性を顕微鏡にて観察した。運動性が確認できた菌株については超遠心分離によりべん毛を精製した。TLR5を介した炎症誘導作用を評価するため、ヒト腸管上皮細胞由来のCaco-2細胞を精製したべん毛タンパク質で刺激し、産生誘導されたIL-8をELISAにより定量した。その結果、試験した全てのべん毛タンパク質でIL-8の産生誘導が確認された。また、べん毛タンパク質によるIL-8の産生誘導能は菌株ごとに大きく異なった。続いて、べん毛タンパク質のTLR5による認識に関わるアミノ酸配列をアライメント解析したところ、べん毛タンパク質ごとに当該配列に違いがみられた。この結果から、IL-8の産生誘導能の差異はTLR5認識配列の違いに起因する可能性が示唆された。今後はin vivoにおいて各菌株が炎症応答を誘導するのかを解析していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Lachnospiraceae科細菌のべん毛が炎症応答を誘導することをin vitroにて明らかにした一方で、当初予定していたin silicoでの解析が遅れているため。今後はin silicoでの解析とin vivoでの解析を並行して進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
フラジェリンデータベースと公共のヒト腸内細菌叢のメタゲノムデータを活用し、ヒト腸内に存在する有べん毛細菌種及びそれらの存在比を推定する。既に精製したべん毛については糖鎖修飾の解析やべん毛繊維の安定性を評価していく。また、in vitroにおいてべん毛の炎症誘導作用が高かった菌株についてはin vivo試験で炎症応答を誘導するのかを評価する。具体的には、無菌マウスの腸内に有べん毛細菌を定着させ、糞便中の有べん毛細菌数とフラジェリン遺伝子発現をCFU測定とqRT-PCRによりそれぞれ定期的に調べる。また、炎症応答の指標として、糞便と血液中のフラジェリン特異的抗体価や炎症性サイトカインをELISAにより経日的に測定する。
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Causes of Carryover |
本年度には、予定していたin silico解析やべん毛の糖鎖解析、安定性評価ができなかった。次年度は、これらの解析をin vivo解析と並行して実施する予定である。
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Research Products
(1 results)