2022 Fiscal Year Research-status Report
水田土壌中のヒ素動態に関与する微生物群集構造と機能遺伝子の解析
Project/Area Number |
22K20587
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
伊藤 虹児 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 研究員 (70828863)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | ヒ素 / 水田 / 土壌微生物学 / メタトランスクリプトーム |
Outline of Annual Research Achievements |
2種の水田土壌を湛水条件下で静置培養、あるいは好気的に振盪培養し、3日目の核酸を抽出した。RNA、DNAはそれぞれメタトランスクリプトーム解析に供した。シーケンス量は21.54 ~ 27.41 Gbだった。また、得られたリード数はメタトランスクリプトーム解析でおよそ1億4千万 から1億8千万リードだった。 これらの生リードをSolexaQAによって前処理し、ターゲットとするヒ素代謝遺伝子(arxA, aioA, arrA, ttrA)をアセンブルするためにMegaGTA (Li et al, 2017) を使用した。対象とする遺伝子のうちarxA、aioA、arrAはDunivin et al. 2019で構築されたデータベースを用い、ttrAに関してはカスタムデータベースを用いた。 その結果、静置培養した処理区ではいずれの土壌もarrAではなく、ttrAのコンティグがアセンブルされた。またこれらのコンティグは好気的に震盪培養した処理区からは全く検出されなかったことから、2種の土壌に於いてはこれまで広く研究されている異化的ヒ酸還元酵素遺伝子arrAではなく、新規にヒ酸還元酵素遺伝子として発見されたttrAが土壌溶液中ヒ素溶出に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
水田土壌からメタトランスクリプトーム解析に供試するための十分なRNAを抽出するための条件検討が未だに続いている状況である。特に、灰色低地土に於いては現在使用しているRNeasy PowerSoil Total RNA kitで殆ど抽出できていないため、当該キットのような間接抽出法ではなく、直接抽出法も試す必要性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA抽出に関しては直接抽出法を試す。 また、MegaGTAに用いるターゲット遺伝子のデータベースを拡充する。
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Causes of Carryover |
研究計画の遅延により、本来手配すべき試薬を発注しなかったため
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