2023 Fiscal Year Annual Research Report
海綿由来レクチンを基盤とする糖鎖を介したサイトカイン受容体 新規活性化機構の解明
Project/Area Number |
22K20589
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
辺 浩美 北海道大学, 水産科学研究院, 助教 (30962758)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | レクチン / 生理活性タンパク質 / トロンボポエチン受容体 / 糖鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では初めに、ThCに類似したアミノ酸配列を持つバクテリア由来レクチン(多くがhypothetical proteinとして登録されているもの)を組換えタンパク質として発現し、それらを培養細胞を用いてTPO様活性を評価した。その結果、全く活性を示さない、もしくはThCと比較して非常に弱い活性を示した。これらはEC50値が大きく上昇したことに加え、最大活性もThCの半分以下に留まる結果であった。一方で、これらはレクチンに特徴的にみられる細胞凝集がThCよりも強く現れていたことから、TPO様活性の差は単に糖への結合能によるものではないことが示唆された。 また、これまでのThCに関する研究からThCのC末端131番目のグリシン残基が糖との結合に重要な役割を果たしていることを見出している。さらに、ThCに類似した構造を持つレクチンのほとんどにおいてC末端のグリシン残基が保存されていることから、当初はこれが糖との結合における必要条件であると考えていた。しかしC末端を他のアミノ酸へ置換した変異体を作成し活性評価を行ったところ、活性は弱まるものの、保持されていることが明らかとなった。 以上の結果の通り、本研究では各種ThC変異体や類似レクチンの組み換えタンパク質を作成し、それぞれに対し培養細胞を用いた活性の評価を行うことで、様々な角度からレクチンによる糖鎖を介したTPO受容体活性化の詳細を明らかにすることを試みた。いずれのレクチンと比較してもThC(WT)が群を抜いて強い活性を示すことが明らかとなったが、タンパク質立体構造予測ツールAlphaFoldなどを用いて予測した発現レクチンの立体構造とThCの立体構造は酷似しており、活性の差を説明し得る決定的な理由は明らかになっていない。今後はTPO受容体との複合体としての構造比較など、更なる検討が必要である。
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