2023 Fiscal Year Annual Research Report
Measurement of the mycorrhizal hyphal turnover through soil imaging: Resolving the image analysis bottleneck with AI
Project/Area Number |
22K20595
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 森林物質循環 / 土壌炭素 / 菌根菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
森林土壌における菌根菌の根外菌糸(以下「菌根菌糸」という)のターンオーバーの観測を可能にするため、土壌断面を撮影するための高解像度撮影装置及びAI(人工知能)を活用した土壌断面画像の自動分析手法を開発した。最終年度には、撮影装置により取得した土壌断面画像の一部において菌糸を手動でマークし、AI学習用の教師データを作成した。その教師データを用いて、菌糸と土壌背景を識別できるようにAIを練習させた。そして、AIを活用し、メッシュ・シートによって根の進入を阻止した(腐生菌糸のみが映ることを仮定した)土壌断面と阻止していない(菌根菌糸と腐生菌糸両方が映ることを仮定した)土壌断面において、6月と9月の間に発生した菌糸量の自動測定を行った。また、DNA分析により土壌における菌種構成を明らかにした。 その結果、AIの活用により、取得した土壌断面画像の分析時間を数日間から数分に減らせることができた。AIを用いた自動画像分析の正確度、すなわち手動画像分析の結果との類似度は高かった(Jaccard係数 > 0.8)。菌糸量は、根の進入を阻止した土壌断面でも阻止していない土壌断面でも、6月にピークを示した。根の進入を阻止した土壌断面においては、菌糸束が多く発生したため、根からの糖類供給を必要とする菌根菌糸がメッシュ・シートの外にある根から遠く伸び込んできたと考えられる。土壌のDNA分析では、根の進入を阻止した土壌でも阻止していない土壌でも外生菌根菌(Russula sp.など) と腐生菌(Mortierella sp.など)が多く検出された。よって、AIの活用により森林土壌における菌糸ターンオーバーの観測が可能になると考えられるが、菌根菌糸と腐生菌糸の動態を分けて観測するためには更なる工夫が必要となる。
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