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2022 Fiscal Year Research-status Report

温室内環境の最適化に向けた温室作物の光合成制限要因の定量的解析

Research Project

Project/Area Number 22K20603
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

横山 岳  九州大学, 農学研究院, 助教 (80962472)

Project Period (FY) 2022-08-31 – 2024-03-31
Keywords光合成 / 気孔コンダクタンス / 葉肉コンダクタンス / 葉面境界層コンダクタンス / イチゴ / 温室 / 微気象
Outline of Annual Research Achievements

温室作物生産においては,作物の生育および収量を決定づける生理生態反応である光合成を,環境調節によって通常レベルより高い状態に促進させることが試みられている.同時に,営農コスト削減の観点から効率的に光合成を促進する環境調節技術の開発も求められている.効率的に光合成速度を向上させる手段として,光合成を構成する各プロセスのうち,光合成速度を最も制限しているプロセスを最適化することが挙げられる.そのためには,光合成を構成する各プロセスがそれぞれどの程度光合成速度を制限しているかを定量的に評価する必要が有る.そこで本研究では,これまで屋外で生育している植物を中心に適用されてきた光合成制限要因の定量的解析手法を温室作物に適用可能な形に拡張し,温室作物の光合成速度が“どのような要因”で“どの程度”制限されているかのかを定量的に明らかにすることを目的とした.まず,予備実験として,従来屋外で生育している植物に用いられてきた光合成制限要因の定量的解析手法を,温室イチゴに適用することを試みた.その結果,中程度の環境ストレス条件においては,温室イチゴの光合成は主に気孔律速により制限された.環境ストレスの程度が強くなるにつれて,温室イチゴの光合成を制限する主要因は,気孔律速に加えて葉肉律速となった.以上の結果から,温室イチゴの光合成の制限要因は,環境条件の違いに起因する環境ストレスの強度によって変化することを明らかにした.次に,温室内のような微風速環境においては,葉と大気の摩擦によって生じる葉面境界層コンダクタンスが低下することで,光合成を制限し得ることに着目した.葉面境界層コンダクタンスを計測するために,模擬葉と呼ばれるセンサを作成した.計測の結果,微風速環境においては,強風環境と比較して葉面境界層コンダクタンスの減少により大気から葉面への二酸化炭素の拡散が著しく制限されることを明らかにした.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

本研究の目的は,これまで屋外で生育している植物を中心に適用されてきた光合成制限要因の定量的解析手法を温室作物に適用可能な形に拡張し,温室作物の光合成速度が“どのような要因”で“どの程度”制限されているかのかを定量的に明らかにすることである.そのためには,まず,葉面境界層コンダクタンスを考慮した光合成制限要因の解析手法を構築する必要がある.葉面境界層コンダクタンスを計測するためには,自作のセンサを作成する必要があるが,既にセンサの作成は完了している.また,自作のセンサを用いて構築した温室作物に適用可能な光合成制限要因の定量的解析手法を実際に温室イチゴを対象に適用している.したがって,本申請課題の目的をほとんど達成している状況である.今後は,1年目と異なる季節などに同様の実験を繰り返しデータを蓄積する.同時に1年目に完了した実験に関する論文投稿を進める.既に予備実験の結果が査読付き国際誌1報掲載されている.

Strategy for Future Research Activity

研究計画に記載した目的をほぼ達成している.今後は,1年目と異なる季節などに同様の実験を繰り返しデータを蓄積する.特に,温室内の気温低下を防ぐために,温室の換気が著しく制限されるために,温室内の風速が極めて低下する冬季を対象に集中的に実験を行うよていである.また,温室内の風速環境改善に向けた知見を得るために,温室内で循環扇などを稼働させた条件と稼働させていない条件などで実験を実施する予定である.同時に国際的に著名なジャーナルへの掲載を目指し,データ解析および論文執筆をすすめる.

Causes of Carryover

為替の変動の関係で当初計画していた額よりも論文のオープンアクセス費用が少額であったことが次年度使用額が生じた主な理由である.次年度使用額で生じた余剰分は,実験を行う際の温室の環境制御をより綿密に行う費用として使用する予定である.具体的には,暖房の稼働費や循環線の追加設置に用いる.

  • Research Products

    (2 results)

All 2023 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Diurnal changes in the stomatal, mesophyll, and biochemical limitations of photosynthesis in well-watered greenhouse-grown strawberries2023

    • Author(s)
      YOKOYAMA G.、ONO S.、YASUTAKE D.、HIDAKA K.、HIROTA T.
    • Journal Title

      Photosynthetica

      Volume: 61 Pages: 1~12

    • DOI

      10.32615/ps.2023.001

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 温室イチゴの光合成はどのような生理的要因に制限されるのか -あまおう(福岡S6 号)を例に-2022

    • Author(s)
      小野信太朗,横山岳,日高功太,安武大輔,広田知良
    • Organizer
      日本農業気象学会九州支部会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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