2023 Fiscal Year Annual Research Report
黒毛和種の枝肉形質とルーメン微生物の関係解析-マルチオミクス解析を用いて-
Project/Area Number |
22K20608
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
佐藤 元映 宇都宮大学, 農学部, 助教 (10962805)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 反芻動物 / ルーメン微生物 / 枝肉形質 / メタゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
反芻動物の第一胃(ルーメン)に存在する微生物はエサを分解し、宿主によって必要不可欠な短鎖脂肪酸やタンパク質生成する。わが国の黒毛和種の「優れた脂肪交雑」と「ルーメン微生物」も関連すると考えられるが、その関係性は解明されていない。そこで本研究では黒毛和種のルーメン微生物およびと枝肉形質の関連を調べた。 ①黒毛和種のルーメン原核生物叢を次世代シーケンサーを用いた16S rRNAアンプリコンシーケンスおよびショットガンシーケンスにより調べ、黒毛和種のBMSナンバー(肉質の指標)および枝肉重量との関係性を調べた。16S rRNAアンプリコンシーケンスのデータに基づきBMSナンバーの高い個体と低い個体のβ多様性を比較した結果、明らかに異なるルーメン微生物叢が形成されていることが示唆された。同様に、枝肉重量の大きい個体と小さい個体の間にもルーメン微生物叢に違いが見られた。またショットガンシーケンスのデータより、metagenome-assembled genome (MAG)を807個作成した。その中から枝肉重量および脂肪交雑に関連するMAGをそれぞれ309および113MAG見出した。 ②次に、黒毛和種の枝肉形質とルーメンウイルスの関係性を調べるために、BMSナンバーおよび枝肉重量の高い個体と低い個体のルーメンウイルス様粒子(VLP)をショットガンシーケンスした。その結果、ルーメン原核生物だけでなく、ルーメンウイルスも黒毛和種の枝肉形質と大きく関連していることが示唆された。 以上の結果より、黒毛和種の枝肉形質(肉質および枝肉重量)とルーメン原核生物およびルーメンウイルスには大きな関連があることが明らかになった。
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