2023 Fiscal Year Annual Research Report
中枢と腎臓における真核生物伸長因子2キナーゼの役割解明と高血圧症治療薬の探索
Project/Area Number |
22K20617
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
兒玉 朋子 北里大学, 獣医学部, その他 (20962939)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | eEF2K / 高血圧 / 糖尿病 / 一酸化窒素 / SGLT2 |
Outline of Annual Research Achievements |
Eukaryotic elongation factor 2 (eEF2) kinase (eEF2K)は特異的基質であるeEF2をリン酸化することでタンパク質翻訳を抑制的に制御するタンパク質キナーゼである。私はこれまで選択的eEF2K阻害薬A484954が本態性高血圧症モデルラット(spontaneously hypertensive rat: SHR)において血管拡張作用を介して単独で全身血圧を低下させることを明らかにした。昨年度はSHRにおいてA484954がnitric oxide (NO)産生を亢進することでナトリウム利尿を誘導することを明らかし、結果を学術論文にまとめて公表した。糖尿病と高血圧症を合併する場合が多いため今年度は、eEF2Kを標的として糖尿病と高血圧の病態制御における作用を明らかにすることを目的に研究を行った。以下に今年度の研究成果の概要を示す。 高血圧と高血糖となる肥満・2型糖尿病モデルラット(Otsuka Long-Evans Tokushima Fatty rat)においてA484594投与(1週間)は血糖値を低下させ、この作用は腎臓の主要なグルコース再取り込み機構であるsodium glucose co-transporter 2発現が減少することで、尿中へのグルコース排泄が増加するためであることが明らかになった。また、A484954投与はNOを介した血管拡張作用やナトリウム利尿を介して収縮期血圧を低下させた。加えて強心作用も有することが明らかになった。以上より、A484954によるeEF2K活性阻害が糖尿病と合併症である高血圧病態を改善することが明らかになり、eEF2Kが糖尿病と高血圧の新規治療薬のターゲットとなる可能性が示された。 以上の結果をまとめ、第166回日本獣医学会学術集会及び第33回日本循環薬理学会で発表した。
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