2022 Fiscal Year Research-status Report
豚灌流心の光学マッピングによる筋ジストロフィー心筋症初期病態の機能・形態学的解明
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22K20620
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
志賀 崇徳 麻布大学, 獣医学部, 助教 (20963482)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | ベッカー型筋ジストロフィー / 心筋症 / 豚モデル / ランゲンドルフ灌流心 / 光学マッピング / ジストロフィン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は、BMD豚心筋症モデルの摘出心臓を用いたex vivo解析により、ジストロフィン欠損による心筋症の初期病態を機能と形態の両輪で解明することである。そこで本年度は、この豚モデルの灌流心標本を作成し、ex vivoで不整脈を再現したうえで光学マッピングを実施し、不整脈時の心筋活動電位の変化(興奮伝播)を可視化するという実験を行った。 具体的には、保因雌豚を交配させて得た子豚(5頭)から心臓を摘出し、ランゲンドルフ法による灌流心を作成、心電図を記録した。イソフルランを脂肪乳剤により溶解させた灌流液で灌流後、アドレナリンを灌流液に注入、不整脈を誘起した。その結果、全ての子豚でイソフルラン灌流のみでは不整脈が誘発されなかったが、非保因の子豚では、アドレナリン注入後に頻拍を示し、稀に期外収縮が認められたのに対し、保因の子豚では、アドレナリン注入後に多形性心室頻拍を示し、心室細動に至った。さらに、多形性心室頻拍あるいは心室細動に至った保因子豚の灌流心において、灌流液に膜電位感受性色素を添加し、心臓表面の蛍光シグナルの変化を高速度カメラで計測した。その結果、多形性心室頻拍時においては右心室の一部で興奮伝播が伝わらない箇所が観察され、心室細動に移行した際には、心室では正常な興奮伝播はほとんど認められず、リエントリーが起きていた。 以上の結果から、BMD豚心筋症モデルにおける不整脈時の心筋の異常興奮伝播(機能異常)が明らかになった。今後は、灌流後の心臓の組織病変を形態学的に精査することで、不整脈の病理発生機序を解明したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載したスケジュール通り、進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画を変更することなく、このまま進める。
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Causes of Carryover |
初年度のランゲンドルフ灌流心実験、光学マッピング実験の試行回数が想定したよりも少なかったため、次年度に繰り越した。
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