2022 Fiscal Year Research-status Report
Mechanisms underlying transdifferentiation of Kupffer's vesicle epithelial cells
Project/Area Number |
22K20625
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池田 貴史 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (40962329)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | クッペル胞 / 上皮間充織転換 / 分化転換 / ゼブラフィッシュ |
Outline of Annual Research Achievements |
魚類初期胚に一過的に出現するクッペル胞(KV)は、少数の上皮細胞とそれらに囲まれた空胞からなる単純な器官である。KVはからだの左右軸の向きを決定する左右軸オーガナイザーとして機能するが、左右軸形成期後には退化することが知られている。本研究では、KVの退化の際にKVを構成する上皮細胞(KV上皮細胞)が分化転換を起こし、周囲の中胚葉組織に移入して長期間生存するという発見をもとに、KV上皮細胞の分化転換の機構を明らかにすることを目指している。本年度は、KV上皮細胞の分化転換を制御するシグナルの同定と、KV上皮細胞の標識技術の改良の2つの目標を設定し、研究を進めた。KV上皮細胞が特異的に標識されるゼブラフィッシュ遺伝子組換系統(dand5:EGFP)の胚に各種シグナル伝達系阻害剤を投与し、KV上皮細胞の挙動を解析したところ、KV上皮細胞の生存率などに影響する可能性のある薬剤を同定できた。また、これまでの研究に用いてきたdand5:EGFP系統では、dand5プロモーターの特性から、分化初期のKV上皮細胞を観察できないという欠点があった。そこでKV上皮細胞の前駆細胞であるdorsal forerunner cellsに特異的に発現する遺伝子のプロモーター配列を複数単離し、レポーターアッセイを行ったところ、dand5プロモーターよりも早い段階からKV上皮細胞系譜に特異的な活性を示す可能性のあるプロモーターが得られた。現在、このプロモーターを用いた遺伝子組換え系統を作製し、プロモーターの活性検定を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種阻害剤投与実験により、KV崩壊後のKV上皮細胞の分化に影響するシグナルの候補を絞り込むことができた。また、KV上皮細胞をこれまでよりも早い段階から特異的に標識できる可能性のあるプロモーターを単離することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
阻害剤投与をはじめとした各種シグナル阻害実験をさらに進め、KV上皮細胞の分化転換の上流シグナルの同定を目指す。さらに、得られたプロモーター配列を用いた新規系統と、従来使用していたdand5:EGFPにおけるシングルセル解析を進め、KV上皮細胞の分化転換の機構を明らかにする。
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