2023 Fiscal Year Annual Research Report
DNA損傷応答とクロマチン構造変化の連携の分子レベルでの理解
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22K20631
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
磯部 真也 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (50897147)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | ヘテロクロマチン / DNA損傷修復 / R-loop |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘテロクロマチンでは、その凝縮した構造からDNA上でおこるイベントに関与する因子はそのままの状態ではDNAにアクセスできず、クロマチン構造の再編がイベント毎に行われている。これまでに、ヘテロクロマチン因子HP1の新規結合タンパク質として同定されたAHDC1をマウス細胞で過剰発現させると、特徴的なヘテロクロマチンであるクロモセンターの形態変化を引き起こすことを見出している。AHDC1はヘテロクロマチンの高次構造変換活性を有することや、DNA損傷修復に関わるSCAI、R-loop (DNA:RNA hybrid) の解消やDNA修復時に働くBAFクロマチンリモデリング複合体と結合することを明らかにしており、AHDC1はヘテロクロマチンとDNA損傷修復を結ぶのに重要な因子であると考えた。 本研究により、AHDC1結合タンパク質のHP1、SCAI、BAF複合体について、AHDC1上の結合部位を同定した。加えて、マウスNIH3T3細胞でAHDC1 K/O株を樹立し表現型探索を行うと、自然発生的な核内全体のgH2AXの輝点が減少していること、特に、クロモセンター領域結合しているgH2AXが低下していることを見出した。また、特異的抗体を使った免疫沈降産物のqPCR解析から、クロモセンターからの転写産物がクロマチンに取り込まれている量が増大しており、AHDC1はR-loopの解消に関与すると考えられた。 これらの結果から、AHDC1は、クロモセンターでDNA損傷が生じた際、ヘテロクロマチンやR-loop構造を解消することで、損傷DNAをヘテロクロマチンからループアウトさせることに関与し、DNA損傷応答を促進するのに役立っているのではないかと考えられた。今後は、クロモセンターでの解析を通して、AHDC1がRNAを介したクロマチン構造変換に関わっている作用仮説を示したいと考えている。
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[Journal Article] Dominant-negative variants in CBX1 cause a neurodevelopmental disorder2023
Author(s)
Kuroda Y, Iwata-Otsubo A, Dias K-R, Temple S. E. L., Nagao K., De Hayr L., Zhu Y., Isobe S-Y., Nishibuchi G., Fiordaliso S. K., et al.
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Journal Title
Genetics in Medicine
Volume: 25
Pages: 100861~100861
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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