2023 Fiscal Year Annual Research Report
Structure-function analysis of human bitter taste receptors
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22K20632
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
堤 尚孝 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (70963495)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 難生産性タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の骨子となるTAS2Rの組換えタンパク質調製について、その難生産性に直面したことから、発現・精製系の確立に注力した。令和5年度に導入できたExpi293 Inducible Expression Systemを用いて様々な条件の最適化を試みた結果、25種類あるTAS2Rサブタイプのうち、解析に用いた少なくとも9サブタイプについて発現量の大幅な改善を確認した。また界面活性剤で可溶化したTAS2Rに対して、蛍光標識した抗エピトープ抗体断片(Alexa647-conjugated anti-FLAG Fab)を適用した蛍光ゲルろ過クロマトグラフィーを行うことで、サブタイプによって程度に差があるものの、得られたタンパク質の一部が物理化学的解析に適した単分散性を示すことを確認した。また、このうち最も性状の良いと考えられたサブタイプについては、Gustducinとの複合体として小スケールでの精製に成功した。これらの結果から、さらなる発現・精製条件の検討、スケールアップ、および得られた組換えタンパク質の解析を進めるための下準備ができたが、複数の環境的要因からその達成には至らなかった。一方でクライオ電子顕微鏡を用いた膜タンパク質の立体構造解析系については順調に立ち上がり、共同利用施設SPring-8でデータ測定した膜タンパク質の構造を3.3Aの分解能で決定して、分子量50以下のリガンドの結合位置を特定することに成功するなど進展が見られた。 以上の背景、および標的とするTAS2Rの重要性から、本研究課題を継続する必要があると考える。このため、民間助成金(風戸研究奨励会)を通じてさらなる検討を行い、その機能・構造解析を目標として研究を進める。また当該分野においては、TAS2R46 (Science 2022) に加えてTAS2R14 (Nature 2024) の構造が報告されたことから、これらの実験条件などを参考に計画を修正する。
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