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2022 Fiscal Year Research-status Report

ミトコンドリアユビキチン修飾シグナルのシステム解明

Research Project

Project/Area Number 22K20637
Research InstitutionGakushuin University

Principal Investigator

伊藤 直樹  学習院大学, 理学部, 研究員 (20965834)

Project Period (FY) 2022-08-31 – 2024-03-31
Keywordsミトコンドリア / ユビキチン修飾 / ユビキチンリガーゼ / 脱ユビキチン化
Outline of Annual Research Achievements

MITOLによるユビキチン修飾の生理的役割の解明として、新規基質HMOX2の修飾について解析を行った。脱ユビキチン化アッセイの結果、MITOLによってHMOX2へ付加されるポリユビキチン鎖はプロテアソーム分解に働くK48結合型ではなく、活性制御に働くK63結合型であった。また、HMOX2におけるユビキチン化されるリジン残基を同定するべく、26箇所全てのリジンを1箇所ずつアルギニンに置換した変異体を作製し、各変異体の修飾を検討した。その結果、MITOLによるユビキチン化が顕著に減少する変異体を見出した。
MITOLの基質に対するユビキチン鎖決定機構の解明として、新規結合分子OTUD4について解析を行った。OTUD4は通常K48結合型のユビキチン鎖を切断するが、リン酸化されることでK63結合型を切断するようになるユニークな脱ユビキチン化酵素である。以前より所属の研究室にて解析を進めてきたParkinは、MITOLによってCCCP刺激時にK48結合型、Rotenone刺激時にK63結合型のユビキチン鎖が付加される。同様の刺激条件下において、OTUD4のリン酸化をPhos-tag PAGEにより検出したところ、CCCP刺激時にのみリン酸化されることを見出した。したがって、Parkinのユビキチン鎖の種類はMITOLではなく、OTUD4によって決定されていることが示唆された。
MITOLのユビキチン化基質の新規スクリーニング法の構築のために、AID2システムを導入したHeLa細胞を樹立した。OsTIR1安定発現細胞においてCRISPR-Cas9法を用い、ゲノム上のMITOL遺伝子のエキソン1領域にmAIDタグ配列をノックインした。5-Ph-IAA処理後、3時間以内に内在性MITOLが消失することをウエスタンブロッティングにより確認できた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

新規基質HMOX2の解析は予定通りに進捗している。現在までの結果からMITOLはHMOX2に活性制御性のK63結合型ポリユビキチン鎖を付加することが明らかになった。したがって、HMOX2の活性はMITOLによって調節されていることが強く示唆された。HMOX2は小胞体膜に局在するヘム分解酵素であり、MITOLとの相互作用はミトコンドリアと小胞体の接触領域を介していると考えられる。ミトコンドリアと小胞体間でのヘム鉄代謝制御機構はこれまで報告がなく、新規のシグナル伝達経路の解明が期待できる。
OTUD4の解析に関して、2022年度は当初、小胞体ストレス時のIRE1αのユビキチン化について検討する予定であった。しかし、MITOLによるParkinのユビキチン化の解析が予想外に進展し、刺激依存的にユビキチン鎖の使い分けとみられる現象が確認された。よって2023年度予定の既報基質の解析を前倒し、Parkinがユビキチン化される条件におけるOTUD4動態の解析を進めた。その結果、刺激依存的なOTUD4のリン酸化とそれに伴う脱ユビキチン化活性によりParkinのユビキチン鎖が決定されることが示唆された。
ユビキチン化基質の新規スクリーニング法の構築では、2022年度に予定していた細胞の樹立を滞りなく行えた。

Strategy for Future Research Activity

MITOLによるユビキチン修飾を受けないHMOX2変異体が得られたことで、その酵素活性や発現時のミトコンドリア内鉄動態の解析を進める。細胞内でのHMOX2の酵素活性は、ヘム分解時に生じるビリベルジンを発色団とする蛍光タンパク質iFP2.0の輝度により測定を行う。既にiFP2.0を用いた測定系は確立できている。ミトコンドリア内の鉄は呼吸鎖において電子供与に働くため、変異体発現時のミトコンドリア呼吸能の測定も行う。
OTUD4が実際にParkinのユビキチン鎖の切断に関与する証拠はまだ得られていない。したがって、CRISPR-Cas9法によりOTUD4欠損HeLa細胞を樹立し、OTUD4の不活性化変異体や脱リン酸化変異体などを再発現させ、残存するParkinのユビキチン鎖の種類を解析する。
ユビキチン化基質の新規スクリーニングにおいては、AID2システムによりMITOLをノックダウンした細胞においてユビキチン化タンパク質を精製し、プロテオミクス解析を進める。ユビキチン化タンパク質を精製する方法として、HAタグ標識ユビキチンの過剰発現とHA抗体による免疫沈降、あるいはTR-TUBE法とdiGly抗体による精製・濃縮を検討する。TR-TUBE法はユビキチン鎖に結合するプローブを細胞内に発現させることで、脱ユビキチン化酵素やプロテアソームから保護しつつユビキチン化タンパク質を特異的にプルダウンすることができる。AID2システムによるMITOLの急速なノックダウンはプロテアソーム分解を利用するため、ノックダウン処理とTR-TUBE発現が干渉しないようにタイミングの最適化を行う。

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Published: 2023-12-25  

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