2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating the control mechanism of gene expression based on the unique DNA-binding mode of the nuclear transport factor importin alpha
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22K20638
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
地引 和也 日本大学, 文理学部, 助手 (00961616)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | importin α / DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、核輸送因子importin αの輸送基質およびDNAとの相互作用によるクロマチン制御機構を明らかにするため、輸送基質のDNAターゲッティングと遺伝子発現調節に対するimportin αの作用とその機序を明らかにする。これにより、importin αがDNA上においても輸送基質を運んで生理作用を示すという全く新しい遺伝子発現制御機構を見いだす。さらに、importin αが遺伝子発現に関わるゲノム上の作用点をスクリーニングすることにより、importin αの生理作用の解明に重要な情報基盤を構築する。そのために、①importin αがクロマチン上で結合するタンパク質、②importin αのDNA配列に対する特異性と動態、③importin αによるDNAへの輸送基質の誘導とその活性、④importin αが調節するゲノム領域を明らかにする。 2022年度は、②importin αのDNA配列に対する特異性と動態を明らかにするために、分子イメージングを実施し、DNA上でのimportin αの運動を解析した。さらに、人工的な輸送基質と結合したまま運動する様子も観察され、DNA上においてもimportin αが輸送基質のDNAターゲッティングと遺伝子発現調節に関わる可能性が支持された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、代表者らが見いだしたimportin αのユニークなDNA結合様式を基軸とし、importin αによるDNA上での輸送基質の輸送を介した遺伝子発現調節機構の解明を目的としている。 2022年度は、本研究の中心メカニズムとなるimportin αのDNA上での動態を観察するための分子イメージングに注力し、実験系を確立した。これにより、DNA上でのimportin αの運動と輸送基質との相互作用を捉えることができた。また、人工的な輸送基質として使用したNLS(Nuclear Localization Signal)単独でもDNA上で運動することが明らかとなった。そのため、importin αとNLSの運動の比較を行った。さらに、importin αには7種類のファミリータンパク質が存在するが、ファミリータンパク質によってDNA上での動態が異なることも明らかとなり、新たにファミリータンパク質を研究項目に追加して解析を行った。今後、分子イメージングを活用することにより、本研究を効率的に遂行できる。このことから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
輸送基質は単独でもNLSを介してDNA上を運動する可能性がある。そこで、2023年度は、①importin αがクロマチン上で結合するタンパク質を網羅的に調べ、importin αと輸送基質の運動を分子イメージングによって比較しつつ、具体的な輸送基質をモデルとして③importin αによるDNA上へ誘導とその活性を明らかにする。さらに、④importin αが調節するゲノム領域を網羅的に調べ、①-③までの解析で得られた知見と照らし合わせることにより、importin αのユニークなDNA結合様式を基軸とした遺伝子発現制御機構を解明し、importin αが遺伝子発現調節に関わる作用点を予測する。
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Causes of Carryover |
2022年度は、分子イメージングの進展が予定よりも早く、それにともない測定対象が増えたため、予定していた質量分析および次世代シーケンス解析を2023年度へまわし、分子イメージングに注力した。その結果、2022年度に物品費として計上していた分子間相互作用解析費およびそれに係る消耗品費が少なくなった。 2023年度は当初の計画に加え、2022年度に予定していた質量分析および次世代シーケンス解析を実施するため、次年度使用額はそれらの消耗品費として計上する。
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Research Products
(2 results)