2023 Fiscal Year Annual Research Report
Membranous or hairly: fluid dynamics approach to the wing microstrucures
Project/Area Number |
22K20656
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
前田 将輝 拓殖大学, 工学部, 准教授 (80795774)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 動物飛行 / 空気力学 / 羽根 / 羽毛 / 羽枝 / 小羽枝 / 微細構造 / 鳥 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初は実験と数値計算を両立する計画であったが、大学に2基ある低速風洞がいずれも電源系統の不具合により故障し、修理の目処も経たないことから、数値計算を先行させた。まず、Ansys の提供するアカデミック無償使用プログラムにより、流れの数値計算ソフトを OpenFOAM から Ansys Fluent へと変更した。1年目に、微細構造を再現しようとすると計算負荷が非常に高いとわかったため、平板状の隙間のない羽弁を備えたシンプルな羽根モデルを作成し、このモデルの羽弁に切れ込み(隙間)を入れていく、という別のアプローチをとった。隙間の数を増やすほど計算負荷は増大するが、増やした極限の傾向は外挿である程度見積もれる。結果としては、隙間の幅・数を増やすと飛翔効率の指標である揚抗比は低下する傾向にあった。流れの可視化により、羽弁下面(腹側)の高圧気流の一部が隙間を通って羽弁上面(背側)へ流れ込み、羽弁上面の低圧領域を中和してしまい、揚力の低下をもたらすことが明らかとなった。ところが、特定のパラメタ領域においては、隙間がある方が揚抗比が上昇するケースも見られた。この原因は判然としないが、航空機の翼における境界層制御 (BLC) のようなことが起きている可能性がある。こうした結果の一部は学会(バードリサーチ鳥類学大会2023)で発表した。 実験に関してはサーキュレータを利用した簡易手製風洞を作成し、3Dプリントした羽根モデル(隙間あり・なし)に煙の流れをあて、高速度カメラにより撮影するセットアップを行い、何度かパイロット撮影を行った。しかし、数値計算結果の検証 (validation) には至っておらず、今後の課題である。なお初年度よりも高精度の3Dスキャナを購入し羽根をスキャンしたところ、羽弁や羽軸の外形はより正確に捉えられたため、今後はこの形態もCADモデリングの参考に使用していく。
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