2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K20665
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
孫田 佳奈 富山県立大学, 工学部, 助教 (10963415)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 光環境適応 / 柵状組織細胞 / 自然選択 / 適応進化 / 平行進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
光は植物の生存に重要な環境要因であり、光環境への適応は植物の種多様性の創出に寄与している。本研究では、光環境への適応形質の一つである葉の内部構造に焦点を当てている。野生植物を対象に、生育地の光環境によって葉の内部構造に違いが生じる進化機構を明らかにすることを目的としている。 令和4年度は代表者の所属に変更があり、実験環境を一から構築する必要があった。実験に用いる植物は予め用意していたものの、栽培環境が変化したことにより多くの個体が枯死してしまった。また設備も不足しており、予定していた実験をほとんど進めることできなかった。栽培実験を行うために年度途中で大型環境調節装置と調光ライトを導入したが、植物の成長時期を過ぎていたため、葉の形質データを取得することはできなかった。そこで、予定を一部変更した。本研究では当初、光の強さが対照的な環境(強光/弱光)下に生育する複数の分類群を用いることを予定していたが、そのうち材料が入手しやすいユキノシタ科のダイモンジソウに焦点を当てて実験を進めた。複数地点において平行進化したダイモンジソウの光生態型(強光および弱光下に生育する明所型と暗所型)を用いてフェノタイピングを行った。共通環境下で栽培した結果、逆円錐形型の柵状組織細胞は暗所型のみに共通して確認された。今後は複数の条件下での栽培実験を行い、表現型分化における自然選択の影響の有無を明らかにすることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度は代表者の現所属での初年度であり実験設備の整備が不十分であったため、実験が順調に進まなかった。特に植物の栽培環境の変化に対応することが困難であり、予め用意していた植物を実験に用いることができなかったことは大きな打撃であった。年度途中で大型環境調節装置の導入できたが、野生植物の実験に適した時期(春~夏)は既に過ぎていたため、予定していた実験を行うことができなかった。しかし、計画を一部変更し遂行したことによって、新たな展開へとつながった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、環境調整装置内で高性能な調光ライトを使用した栽培実験を行うことによって、表現型分化を引き起こす詳細な環境要因を明らかにしていく予定である。さらに、光合成機能等の測定を行うことで、自然選択の影響を検証する。また、光環境に応じた表現型分化をもたらす遺伝子の探索も進める予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は次年度分を一部前倒し、本年度分と合わせて大型環境調節装置を購入した。その残額が次年度使用額として生じた。当初の予定通り、実験試薬類の購入に充てる。
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