2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K20671
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
永濱 藍 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究員 (00964652)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 開花フェノロジー / 結実フェノロジー / ハーバリウム標本 / 東南アジア / 熱帯林 |
Outline of Annual Research Achievements |
東・東南アジアでは、各気候帯で特有の群集フェノロジーが観察されてきたが、季節性に乏しい熱帯雨林のフェノロジーと、季節性がある熱帯季節林や温帯林のフェノロジーの生態学的な比較検討は不十分だった。本研究は、群集の開花・結実フェノロジーを決定づける環境要因の解明を目指し、東・東南アジアにおける群集の開花・結実フェノロジーの多様性を体系的に記述・整理することを目的としている。本年度は、大きく2つの解析を行なった。 ①ベトナムのビドゥップ・ヌイバ国立公園の熱帯山地林における開花・結実フェノロジーについての解析: 2018年6月ー12316;2020年1月に計7回記録した開花・結実フェノロジーについて、パターンの分類やフェノロジーと気象要因の関連を調べた。その結果、森林を優占する種には毎年開花・結実しない種が3割近く存在すること(観察対象91種のうち開花したのは65種、結実したのは54種)、開花フェノロジーは気温に影響されることが明らかになった。 ②先行研究による開花・結実フェノロジーデータを用いたメタ解析: 東・東南アジアの9地点(温帯林2地点・亜熱帯林2地点・季節性熱帯林1地点・熱帯雨林2地点・熱帯山地林2地点)における先行研究の展葉・開花・結実フェノロジーデータを用いて、クラスター分析を行った。その結果、熱帯山地林2地点(マレーシア・キナバルとベトナム・ビドゥップヌイバ)の気候(日長・気温・雨量)のパターンは異なっていたが、フェノロジーパターンは類似した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・ベトナムのビドゥップ・ヌイバ国立公園の熱帯山地林における開花・結実フェノロジーを明らかにできた。 ・東・東南アジアにおける開花・結実フェノロジーの大まかな傾向を明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、これまでの共同研究で得た東南アジア各地における標本資料をもとに、開花・結実の記録を行う予定である。
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