2023 Fiscal Year Annual Research Report
非ヒト霊長類を用いた短期記憶を操作する神経メカニズムの解明とその障害の病態理解
Project/Area Number |
22K20674
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
澤頭 亮 北海道大学, 医学研究院, 特任助教 (40962866)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 作業記憶 / 中央実行系 / 霊長類 / 消去 / 前頭連合野 |
Outline of Annual Research Achievements |
作業記憶(ワーキングメモリ, WM)は、短期記憶の貯蔵庫であるスレーブシステムとそれらの操作、選択、消去、統合などに関わる中央実行系からなる(Baddeley & Hitch, 1974)。このうち、中央実行系の脳内メカニズムを調べた研究は実に少ない。申請者らはこの脳内メカニズムを明らかにすべく行なった実験で、世界で初めて非ヒト霊長類(マカクザル)にN-back課題を適用し、前頭連合野から記憶の消去に関連した神経活動を発見している。N-back課題は、スレーブシステムと中央実行系の機能を同時に調べることができる検査で、この課題を実験動物に適用した研究は世界に類を見ない。我々の発見した記憶の消去に関する神経活動は中央実行系に関連したものであると考えられる。これら予備実験の結果も踏まえ、本研究では、N-back課題中の前頭連合野の神経活動をサルを用いて調べることで、中央実行系の脳内メカニズムを明らかにし、WM障害の病態解明に迫る。 最終年度前半は、前頭連合野の神経活動と行動との因果性を検証するため、電気刺激実験を中心に行った。後半は、その結果を踏まえてデータ解析と論文執筆に多くの時間を割いた。 研究期間全体を通しての成果としては、N-back課題を用いて、サルの前頭連合野から記憶の保持と消去に関連した神経活動を発見し、これらは因果的に動物の行動選択に関連していることを明らかにしたことである。 北米神経科学会(SfN)でのポスター発表をはじめ、いくつかの国際学会、国内学会で当該分野の専門家達から様々なコメントをもらい、本研究の質をより高めることができた。
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Research Products
(1 results)