2022 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲン受容体βで標識される新規神経核の特徴と機能の解析
Project/Area Number |
22K20677
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐越 祥子 筑波大学, 人間系, 特任助教 (80953869)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2023-03-31
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Keywords | 神経投射 / 新規神経核 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
性ホルモンの一つ、エストロゲンはストロゲン受容体を介して作用することで社会行動調節に重要な働きを持っている。 この受容体の一つであるエストロゲン受容体βが豊富に発現する、新規神経核の可能性が考えられる脳領域(仮称:Area X)をマウス間脳の背側部に我々は発見した。エストロゲン受容体βが発現すること、予備実験では社会行動時に神経活性が認められたことなどから、Area Xは社会行動調節に関わる新たな領域である可能性が考えられる。そこで、Area Xの機能を明らかにするために、脳の他の脳領域にどのような神経投射を持つのか、どのような種類の細胞を持つのかを検証することとした。 はじめにArea Xの神経投射を観察するため、順行性の神経投射を緑色蛍光タンパク質(GFP)で標識するウィルスの局所投与をおこなった。現在までに、Area Xを含んだ周辺領域へのウィルス投与に成功しているものの、感染範囲がArea X内に限局しておらず、Area Xからの順行性神経投射のみを対象とした標識の観察には至っていない。 今後は、エストロゲン受容体ベータプロモーター下流に制限酵素Creを発現するERβCreマウスを使用し、Cre存在下のみでGFPを発現するウィルスを使用する。これにより、感染範囲をよりArea X内に限局した投与を目指すとともに、同様の手法で逆行性の神経投射を標識するウィルス投与も計画している。加えて、Area Xの機能面の役割については、Area Xを切り出してDNAマイクロアレイ解析を行い、どのような特徴的な遺伝子発現をするのかを検証する計画を立てている。
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