2023 Fiscal Year Research-status Report
多様な脳機能の選択的制御を可能にするヒスタミン神経多様性の解明
Project/Area Number |
22K20689
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
森下 良一 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (90953729)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | ヒスタミン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は視床下部の結節乳頭核に局在するヒスタミン神経系が、異なる投射先を介して多様な脳機能を区別して調節するかを解明することを目的として、特定のヒスタミン神経回路の選択的操作が記憶・学習あるいは覚醒状態に与える影響について解析する。 初年度に確立した行動実験系を用いてヒスタミン神経集団の選択的操作が条件付け記憶の想起に与える影響について解析を進めている。ヒスタミン神経選択的にCreリコンビナーゼを発現するHDC-Creノックインマウスの結節乳頭核にCre依存的に光駆動性塩化物イオンポンプであるハロロドプシン(eNpHR)を発現するAAVを注入し、ヒスタミン神経にeNpHRを発現させた。光ファイバーを介しeNpHR を発現するニューロンに緑色光を照射し、ヒスタミン神経を選択的に抑制した。学習課題は音と報酬の古典的条件づけを用いた。この課題では頭部固定下で音の提示とスクロース水(報酬)の提示を行う。予備実験では、音提示の1秒後にスクロース水を与える条件づけを行った後、条件づけ音の提示だけで記憶を想起させると、ヒスタミン神経の活動が上昇することを確認している。また、逆行性トレーサーを用いた解析により、個々のヒスタミン神経が亜集団を形成しそれぞれ固有の投射先を有することを示唆する結果が得られた。これらの結果に基づき、特定のヒスタミン神経回路の選択的操作を光遺伝学あるいは薬理遺伝学的に行うことで、条件付け記憶の想起に寄与するヒスタミン神経回路が明らかになりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒスタミンGRABセンサーを用いたファイバーフォトメトリーにより、特に記憶想起時のヒスタミン放出の領域特異性と時間的動態を明らかにすることを目標としていたが、本研究での利用に適したヒスタミンGRABセンサーを選定できず、実験条件を確立させることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、特定のヒスタミン神経回路の光遺伝学的操作あるいは薬理遺伝学的操作が記憶想起や覚醒状態に与える影響の解析を進める。また、本研究での利用に適したヒスタミンGRABセンサーを探索するため、継続して条件検討を進める。その後ヒスタミンGRABセンサーを用いたファイバーフォトメトリーにより、特に記憶想起時のヒスタミン放出の領域特異性と時間的動態を明らかにする。
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Causes of Carryover |
ヒスタミンGRABセンサーの選定をはじめ、各種実験条件の確立に時間を要し、アデノ随伴ウイルスやマウス手術関連消耗品の消費量が当初の想定よりも大幅に少なかったため、次年度使用額が生じた。 (使用計画)本研究での利用に適したヒスタミンGRABセンサーを探索するため、継続して条件検討を進める。研究の進捗状況に合わせ各消耗品等の購入に充てる。
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