2022 Fiscal Year Research-status Report
神経系の発達と精神疾患の発症における抑制型免疫レセプターgp49Bの機能解析
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22K20690
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
毛塚 大 東北医科薬科大学, 東北医科薬科大学病院, 医師 (00965600)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 免疫抑制レセプター / MIA / ミクログリア / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
精神疾患の発症は神経系の発達と密接に関連している。本来、シナプスは過剰に形成された後にミクログリアによって不要な結合が除去(刈り込み)される。しかし刈り込みが適切に制御されずシナプスの過不足が生じると自閉症や統合失調症の原因となる。昨今、ミクログリアの炎症促進レセプターTREM2 の欠損マウスが、刈り込み不全により自閉症様の症状を示すことが報告された。これにより免疫系のレセプターが精神疾患の発症にも関与することが明らかとなった。申請者はこれまで、過度の炎症を抑制する免疫レセプターについて自己免疫疾患や骨代謝における機能を解明してきた。母体の炎症により仔に精神症状を惹起する「母体免疫活性化モデル」を用いてin vivoでgp49B の発現を誘導し、刈り込み能や行動異常などを評価することを目標として本研究を開始した。 いくつかの抑制型免疫レセプターに着目し、野生型マウスと当該遺伝子の欠損マウスを用いて大脳や海馬における、各種抑制型免疫レセプターの発現量やその局在を評価した。また、In vivoではミクログリアに発現が乏しい抑制型免疫レセプターが、大脳由来の初代培養ミクログリアでは高発現することも見出した。 これらは免疫抑制型レセプターが神経系の発達と精神疾患の発症のメカニズムに何らかの関与をしている可能性を示唆しており、今後はMIAにおけるミクログリアでの抑制型免疫レセプターの機能を解析することで、免疫促進と抑制の両面から明らかにしていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、脳内における抑制型免疫レセプターの発現と局在を評価できている。
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Strategy for Future Research Activity |
主に下記を行う。 ミクログリア機能解:野生型及び抑制型免疫レセプターの欠損マウスにおいて、MIA後のミクログリアの形態および総量を免疫組織化学(IHC)で、活性化や貪食能のマーカーの発現をウエスタンブロッティングやフローサイトメトリーで、炎症性サイトカインの産生量をELISAにて調査する。 シナプス総量と刈り込み能:ゴルジ-コックス染色あるいはIHC でプレシナプスとポストシナプスを共染色することによりシナプス総量を評価する。ミクログリアのリソソームとプレ/ポストシナプスとの共染色により、ミクログリアのシナプス刈り込み能を評価する。 リガンドFNや神経細胞との連関:各種免疫抑制レセプターとそのリガンドとの共局在をIHCによって確認する。また、初代培養ミクログリアと野生型仔マウス海馬由来の初代培養神経細胞を共培養し、刈り込み能をin vitroで評価する。 行動異常の解析:新規マウスへの興味によって社会行動性を評価する 3 チャンバー社会性試験、行動量で活動性や不安を評価するオープンフィールド試験や高架式十字迷路試験などを行いin vivoでのマウスの行動異常を評価する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は試薬や消耗品の価格変動や研究の進行状況によるものであり、次年度使用額の使用計画としては次年度の試薬や消耗品購入を予定している。
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