2022 Fiscal Year Research-status Report
冬眠の低体温における神経機能維持機構の解明~Ca2+ イメージングを用いたアプローチ~
Project/Area Number |
22K20700
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
山田 新太郎 関西医科大学, 医学部, 研究員 (70960607)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 冬眠 / in vivo カルシウム イメージング / ハムスター / 低体温 / チアゾリン類恐怖臭 |
Outline of Annual Research Achievements |
リスやハムスターなどが冬眠している時の体温は5℃ほどまで低下する。その時の神経活動は著しく抑制されている。そのような神経活動が低下している冬眠中の脳において、生命機能や記憶を維持するためにどのような神経活動が存在しているのかはわかっていない。本研究では、in vivo Ca2+ imagingを用いて、冬眠における低体温時の神経活動の実態解明を目的としている。初めに、①ハムスターへ、冬眠および人為的な冬眠様低体温を誘導する。次に、②低体温を誘導したハムスターの神経活動を、in vivo Ca2+ imaging法を用いて評価する。最後に、③低体温の前後で恐怖条件付け試験を行い、冬眠時の神経活動の低下が脳機能に影響を与えるかどうかを評価する。 2022年度までに、①におけるハムスターへの冬眠誘導を、5℃・4Light/20Darkの条件下で飼育することで成功させた。また、マウスに低体温を誘導する先天的恐怖臭2-Methyl-Thiazoline(2MT)を、環境温度が10℃以下の状態で暴露することで、ハムスターに冬眠様な低体温を誘導することに成功した。次に、②におけるin vivo Ca2+ imagingを行うため、ハムスターの海馬にGCaMPを発現させ、小型蛍光顕微鏡を頭部に取り付け、ハムスターの神経活動の測定を行った。この方法を用いて数頭のハムスターで自由行動下での海馬における神経活動を捉えることに成功した。また①における2MTを用いて冬眠様な低体温下での神経活動の測定にも成功した。その結果、既往の研究から想定される通り、体温が低下するにしたがって、GCaMPのシグナルは弱くなり、体温が10℃以下になるとほとんどのシグナルが消失した。しかし、数分に一度大きな神経の同期発火とみられるシグナルが見られ、冬眠様な低体温状態でも神経活動が維持される機構の片鱗が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、研究計画の①、および②における冬眠様な低体温であるハムスターの海馬でのin vivo Ca2+ imagingを成功させている。ハムスターでのin vivo でのCa2+ imaging技術はこれまでに行われておらず、また、低体温下でのCa2+ imagingが可能かどうかに不安はあったものの、問題なく実験を遂行できていることを勘案して、おおむね順調に計画は進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
確立したハムスターでのCa2+ imaging手法を用いて、自発的冬眠における神経活動を観測する。また、恐怖条件学習を行い、学習機能への低体温の影響などを神経活動の観点から評価する。
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Research Products
(1 results)