2022 Fiscal Year Research-status Report
中枢性免疫寛容を制御する新規オートファジー誘導因子の解析
Project/Area Number |
22K20706
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高倉 勇気 千葉大学, 大学院薬学研究院, 特任研究員 (70963007)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 胸腺 / オートファジー / 自己免疫 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
胸腺上皮細胞はT細胞の分化に重要である。胸腺上皮細胞はオートファジーを利用して自己タンパク質を分解し、抗原ペプチドとしてT細胞に提示する。T細胞が自己の抗原ペプチドを認識した場合、自己反応性T細胞となり排除される。この機構により、自己免疫の発症が未然に防がれている。胸腺上皮細胞のオートファジー (胸腺オートファジー) は栄養飢餓と関係なく恒常的に活性化しており、その分子機構は不明のままである。そこで、申請者は胸腺オートファジーを誘導する新規因子 (AIF) を同定した。本研究の目的はAIFによる胸腺上皮細胞におけるオートファジー誘導機構とその機能解明である。 AIFの局在を解析したところ、ミトコンドリアに局在することを見出した。次にAIF誘導性オートファジーの分子メカニズムを解明するためにミトコンドリアの機能解析を行った。AIFを発現させるとミトコンドリア活性が低下した。現在、ミトコンドリア活性低下によるオートファジー誘導メカニズムを解析している。 Crispr-Cas9法によりAIF欠損マウスを作製した。次にオートファジー活性をモニターできるGFP-LC3マウスと交配させた。胸腺上皮細胞のマーカーとしてケラチン5を使用し、ケラチン5陽性細胞のLC3のPunctaを計測した。その結果、AIF欠損マウスの胸腺オートファジーが低下していた。 胸腺オートファジーの低下が自己免疫を誘導することから、AIF誘導性オートファジーと自己免疫の関係性について解析した。マウスの各臓器から炎症性細胞浸潤の有無を検討したところ、AIF欠損マウスでは炎症性細胞浸潤が見られた。次にマウスの血清を採取して血清中の自己抗体を評価したところ、AIF欠損マウスでは自己抗体が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
機械の故障が起こり、当初の予定より研究の進捗が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
AIFのミトコンドリア活性低下によるオートファジーの誘導メカニズムとしてマイトファジーがある。そこで、マイトファジーに注目して解析を行う予定である。 AIF欠損マウスによる自己免疫が胸腺の機能異常により発症しているのか不明である。そこで、ヌードマウスに胸腺を移植した後、マウスの各臓器から炎症性細胞浸潤の有無を検討する。次にマウスの血清を採取して血清中の自己抗体を評価することにより自己免疫を解析する。
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Causes of Carryover |
今年度はリアルタイムPCRの故障により、研究計画に遅延が生じたから。 今年度はリアルタイムPCRを購入したので、次年度は残額は消耗品に充てて研究を推進する。
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