2023 Fiscal Year Annual Research Report
中枢性免疫寛容を制御する新規オートファジー誘導因子の解析
Project/Area Number |
22K20706
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高倉 勇気 千葉大学, 大学院薬学研究院, 特任研究員 (70963007)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 胸腺上皮細胞 / オートファジー / 自己免疫 / T細胞 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
胸腺上皮細胞はオートファジー(胸腺オートファジー)を利用して自己タンパク質を分解し、抗原ペプチドとしてT細胞に提示する。T細胞が自己の抗原ペプチドを認識した場合、自己反応性T細胞となり排除される。この機構により、自己免疫の発症が未然に防がれている。胸腺オートファジー は栄養飢餓と関係なく恒常的に活性化しており、その分子機構は不明のままである。そこで、申請者は胸腺オートファジーを誘導する新規因子としてC15ORF48を同定した。本研究の目的はC15ORF48による胸腺オートファジーの誘導機構とその機能解明である。 C15ORF48安定発現株からC15ORF48は細胞内のATP量を低下させ、AMPK-ULK1経路の活性化を介してオートファジーを誘導する。 C15ORF48欠損マウスをGFP-LC3マウスと交配させてC15ORF48と生体内のオートファジーの関係性について解析した。まず、飢餓依存オートファジーとの関連を調べるために、飢餓ストレスを与えた。欠損マウスでは筋肉組織のオートファジー活性には変化が認められなかった。一方、欠損マウスでは胸腺オートファジー活性が顕著に低下した。このことから、C15ORF48は飢餓依存的オートファジーには関与せず、恒常的に活性化する胸腺オートファジーのような特殊なオートファジーに必要な分子であることが明らかとなった。 胸腺オートファジー活性の低下は、自己抗原の提示と自己反応性T細胞の除去が不全となり結果として自己免疫を発症したと考えられる。そこで、C15ORF48欠損マウスの胸腺をヌードマウスに移植し、自己免疫を解析した。ヌードマウスの血清中から自己抗体が検出され、ヌードマウスの臓器から細胞性浸潤が見られた。このことからC15ORF48はAMPK-ULK1経路により胸腺オートファジーを誘導し、免疫寛容に関与していることが考えられる。
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