2022 Fiscal Year Research-status Report
ビスマスによる脱水素型クロスカップリング反応の開発とその応用研究
Project/Area Number |
22K20709
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
笠間 建吾 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (40963236)
|
Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
Keywords | ビスマス / ビアリール / クロスカップリング / 酸化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
医薬品に含まれるほど極めて安全な元素である典型金属ビスマスを利用した触媒反応、特に、異なる二つのアレノール類を化学・位置選択的に反応させる脱水素型クロスカップリング反応の開発を目的に検討を行い、以下の成果を得た。 はじめに、3-ヒドロキシカルバゾールと2-ナフトールを基質に、強力な酸化剤として知られている五価ビスマスをもちいて脱水素型クロスカップリング反応を検討した。化学量論量のトリフェニル炭酸ビスマスを窒素雰囲気下30度で反応させると、目的のクロスカップリング生成物が得られることを見出した。次に、触媒反応への展開を目指して過酸化物存在下、系中で三価ビスマスを五価ビスマスへと酸化することで、触媒化にも成功した。触媒量までビスマスを減らしても本反応は良好に進行した。さらに、触媒量のビスマス存在下、酸素雰囲気下に30度で反応させても酸素が酸化剤としてはたらくことで、非常に温和な条件で良好な収率で触媒的脱水素型カップリング反応が進行することを見出した。以上の結果から、酸素雰囲気下に行う反応条件を詳細に検討し、最適条件を決定して、基質適用範囲の検討を行った。メトキシメチル基など一部の官能基はビスマスのもつルイス酸性のために適用困難であったが、様々な位置に電子供与性基や電子吸引基をもつ3-ヒドロキシカルバゾール類や2-ナフトール類に対して本反応は利用可能であった。現在、反応機構の詳細を解析し、さらなる適用範囲の拡大を検討している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に基づき研究を遂行し、ビスマスが3-ヒドロキシカルバゾール類を酸化して、求核種である2-ナフトール類との脱水素型カップリング反応が進行することを明らかにした。本反応は、酸化反応で反応の制御が難しい電子豊富な化合物に対しても適用可能であった。現在、反応機構の解明に着手していることから、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き反応機構の解明を行う。また、不斉リガンドをもちいて不斉反応を検討する。
|