2023 Fiscal Year Annual Research Report
熱ショックタンパク質の制御に基づく天然由来医薬シーズの探索とがん再発予防への応用
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22K20720
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
今堀 大輔 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 助教 (10963556)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 天然物化学 / がん予防 / テルペノイド / がん / 熱ショックタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、抗がん剤抵抗性の原因分子の一つである熱ショックタンパク質(HSP)を標的とする天然由来医薬シーズの探索およびがん再発予防薬の提案である。 最終年度は、北海道産カノコソウ(Valeriana fauriei) 根や大分県産カボス(Citrus sphaerocarpa)果皮について含有成分の探索を行った。その結果、カノコソウ根より2種の新規セスキテルペンおよび3種の新規リグナンを既知化合物とともに単離し、構造決定することができた。加えて、カボス果皮より2種の新規リモノイドを既知化合物とともに単離し、構造決定することができた。また、カノコソウより得られた新規成分であるvalerianalignan IおよびIIは、がん細胞およびがん幹細胞に対して有意な毒性を示すことが明らかになった。また、カボスより得られた新規成分であるsphaerocarpain ⅠおよびⅡは、がん細胞に対して有意な毒性を示した。 研究期間全体では、オオハマボウ幹および枝部、カノコソウ根、カボス果皮より計8種の新規化合物を単離し、構造決定することができた。また、seguinoside Kが、化合物単独では子宮頸がん細胞株HeLaの細胞増殖および細胞形態に影響を与えることなく、ADRによるアポトーシス様の細胞死を有意に増強することが明らかになった。加えて、カノコソウより得られた新規成分であるvalerianalignan Iおよび IIは、がん細胞およびがん幹細胞に対して有意な毒性を示すことが明らかになった。また、カボスより得られた新規成分であるsphaerocarpain ⅠおよびⅡは、がん細胞に対して有意な毒性を示した。 本研究により見出した活性成分については、研究計画終了後も引き続き作用メカニズムの解明を行うことで、その有用性を明らかにし、がん再発予防に貢献できる化合物の提案を目指す。
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