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2022 Fiscal Year Research-status Report

有機酸取り込みトランスポーターを標的とした腎不全予防法の提案

Research Project

Project/Area Number 22K20723
Research InstitutionKeio University

Principal Investigator

野口 幸希  慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 助教 (10803661)

Project Period (FY) 2022-08-31 – 2024-03-31
Keywordsトランスポーター / 近位尿細管 / 有機酸 / メチルマロン酸 / 腎障害 / 腎排泄
Outline of Annual Research Achievements

メチルマロニルCoAの異常代謝物であるメチルマロン酸(MMA)は、MMA血症患者において主に肝臓で産生され、尿中に排泄される。MMA血症患者では、近位尿細管を病巣とする腎障害が観察され、近位尿細管上皮細胞へのMMAの取り込み阻害は、MMA血症における腎障害の回避に有用であると考えられる。生体内pHにおいてMMAはアニオンとして存在することから、その尿中排泄機構には、有機アニオントランスポーターが関与する可能性がある。そこで、有機アニオントランスポーター阻害剤を8週齢の雄性SDラットに投与したところ、尿中MMA濃度は有機アニオントランスポーター阻害剤投与後に経時的に上昇し、投与4時間後において投与前の15倍であった。また、有機アニオントランスポーター阻害剤非投与群において、尿中および血漿中MMA濃度に経時的な変動は示されなかった。さらに、非投与群における尿中MMA濃度は血漿中濃度の150倍であったのに対し、有機アニオントランスポーター阻害剤投与の4時間後においては、尿中濃縮率が400倍に増加していた。よって、ラットにおけるMMAの尿中排泄過程には、有機アニオントランスポーター阻害剤に感受性の再吸収機構が含まれることが示唆された。一方、血漿中および腎皮質中MMA濃度は有機アニオントランスポーター阻害剤の投与群と非投与群で差が示されず、少なくとも単回投与では、MMAの腎蓄積に対する抑制効果は乏しいことが示された。さらに、ラット腎刷子縁膜小胞によるMMA取り込みは、カルボン酸やリン酸、胆汁酸の存在下で有意に低下した。よってこれらに感受性のトランスポーターが近位尿細管腔におけるMMAの輸送に関与している可能性が示された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2022年度に解明予定であったメチルマロン酸を基質認識するトランスポーターについては、分子の同定には至らなかったものの、ラット腎における輸送特性を明らかにしつつある。一方で、LC-MS/MSでのメチルマロン酸の定量系を確立し、2023年度に予定していた動物への薬物投与実験で予備的な結果を得るところまで進むことができた。

Strategy for Future Research Activity

メチルマロン酸(MMA)を基質認識するトランスポーターについては、候補トランスポーターを絞り込みつつあるので、発現系での輸送解析を行う。当初は安定発現細胞株を樹立して輸送を評価する計画であったが、より導入効率が高く、内因性トランスポーターの影響を受けにくいアフリカツメガエル卵母細胞での発現系を用いて輸送解析する計画に変更予定である。動物実験では、MMAの腎皮質中および血漿中濃度が有機アニオントランスポーター阻害剤投与群と非投与群の間で同程度であったことから、MMAの腎蓄積に有機アニオントランスポーター阻害剤が及ぼす抑制効果は、少なくとも短期的には乏しいことが考えられた。そこで、より長期での繰り返し投与による影響を検討する。また、発現系での輸送解析結果に基づき、より強力な阻害剤を見出したうえで動物実験を行うことも視野に入れて研究を進める。

Causes of Carryover

2022年度は近郊またはwebでの学会参加であったため、旅費が低く抑えられた。また、候補トランスポーター発現系での実験に至らず、腎刷子縁膜ベシクルを用いた輸送特性解析にとどまったため、候補トランスポーター基質薬物の放射標識体(陽性対照として用いる)を購入する必要がなかった。一方、MMAを基質とする可能性のある候補トランスポーターが複数見出されたことから、2023年度は、それらについて、アフリカツメガエル卵母細胞での発現系を用いて輸送解析を行う予定である。そのため、cRNA合成にかかる費用や、MMAのみならず陽性対照薬物についても放射標識体の購入費用が必要である。また、2022年度に行った動物実験において、単回投与では有機アニオン阻害剤によるメチルマロン酸の腎蓄積抑制効果が示されなかったため、繰り返し投与による検討が必要となった。よって2023年度は、条件検討も含め、動物実験にかかる費用を増額する必要がある。また、MMAの尿中濃縮率をクレアチニンと比較するにあたり、LC-MS/MSを用いてクレアチニン濃度も測定することとしたため、定量に必要な費用(カラム、試薬等)も計上する。2023年度には、成果発表のための学会参加費及び旅費と、論文投稿料および英文校正料としての出費も見込まれる。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] L-type Amino Acid Transporter 1 (SLC7A5)-Mediated Transport of Pregabalin at the Rat Blood-Spinal Cord Barrier and its Sensitivity to Plasma Branched-Chain Amino Acids2023

    • Author(s)
      Akashi Tomoya、Noguchi Saki、Takahashi Yu、Nishimura Tomohiro、Tomi Masatoshi
    • Journal Title

      Journal of Pharmaceutical Sciences

      Volume: 112 Pages: 1137~1144

    • DOI

      10.1016/j.xphs.2022.12.028

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 近位尿細管有機アニオントランスポーターを介したメチルマロン酸の輸送の評価2023

    • Author(s)
      小林 咲央里, 野口 幸希, 中田 柚貴子, 西村 友宏, 登美 斉俊
    • Organizer
      日本薬学会第143年会
  • [Presentation] アンジオテンシンII受容体拮抗薬 (ARBs) の経細胞輸送におけるOAT4の役割2022

    • Author(s)
      榊原 早織, 野口 幸希, 平原 優有, 舟橋 和毅, 加島 里菜, 西村 友宏, 登美 斉俊
    • Organizer
      日本薬物動態学会第37回年会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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