2022 Fiscal Year Research-status Report
脳疾患を標的とする ”Nose-to-Brain" 経路に適した粘膜透過型薬物キャリアの開発
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22K20725
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
萩原 芙美子 昭和薬科大学, 薬学部, 特任助教 (00963993)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | DDS / Nose-to-Brain / アデノウイルス / CAR / BBB |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病やパーキンソン病などの慢性脳疾患の薬物治療において、非侵襲的で繰り返し投与が可能なNose-to-Brain経路が注目されている。 これまでに当研究グループでは、アデノウイルス(Ad)を用いた粘膜透過能および組織浸潤拡散能を有するタンパク質キャリアを開発してきた。このAdタンパク質キャリアはNose-to-Brain経路による鼻腔内投与法のさらなる発展につながると考えられる。しかし、Adタンパク質はヒトAd由来のタンパクであるためマウスを用いたデリバリー研究では利用できない。そこで本研究は、マウスに作用可能な変異型Adタンパク質の創製を試みる。 Adタンパク質の粘膜透過性には、Coxsackievirus and Adenovirus Receptor (CAR) への結合が重要である。そこで、マウスのCARに結合可能な変異型Adタンパク質を創製するために、ファージディスプレイライブラリー法を用いることとした。 ファージディスプレイ法を用いるため、ヒトAdのCAR結合可能領域を目的遺伝子としてAdプラスミドから切り出し、ファージプラスミドのタンパク質をコードする部位に目的遺伝子を組み込んだ。その後、組み換えプラスミドを大腸菌に感染させた。今後は、得られたファージ粒子とCARへの結合性を評価し、ファージディスプレイライブラリーを作製していく予定である。 Adタンパク質キャリアの慢性脳疾患への応用の可能性を検討するために、疾患モデルマウスを用いた治療実験は不可欠であることから、本研究での変異型Adタンパク質の創製には意義があると考える。Adタンパク質キャリアの治療用キャリアとしての有用性を検討することで、DDS研究への貢献につながると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子操作による組み換えプラスミドの作製が難航し、予定より時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
現段階での大きな課題は、ファージディスプレイ法を用いた変異型Adタンパク質の創製である。難航する場合はパンニングの方法を再検討して対応する予定である。 変異型Adタンパク質を創製し、マウスを用いたin vivo治療実験につなげていく。
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Causes of Carryover |
今後、タンパク質と細胞の結合性などを検討する際の抗体やファージディスプレイに必要な試薬の購入、および研究の進捗により実験動物の購入が予定される。さらに、研究を行う期間が昨年度と比較しておよそ倍になることから、必要研究費も昨年度より多くなることが見込まれるため、今回申請を行う。
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