2022 Fiscal Year Research-status Report
新規イミド類の反応性を利用する2-アミノフラン等価体合成法の開発および反応機構解明
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22K20728
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
小西 恵地 広島国際大学, 薬学部, 助教 (60965218)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 2-イミドフラン / 付加環化反応 / 複素環合成 / N-アルキニルイミド |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究室で合成法を見出したN-アルキニルイミドの新たな有用性開拓のため、N-アルキニルフタルイミドとジアゾマロネ-トとの付加環化反応による2-イミドフランの合成を検討した。ロジウム触媒を用いて、高温で反応を行うことで、良好な収率で2-イミドフランを得ることに成功している。また、これまでに研究報告例のあるイナミドとの反応性の違いに着目し、2-イミドシクロプロペンの合成に関しても並行して行った。現在のところ、最適な反応条件であっても、2-イミドシクロプロペンと2-イミドフランが混合して得られており、生成比は約6対1である。今後、さらなる生成比の向上または2-イミドシクロプロペン単体としての合成を目指す。また、対照実験の結果、2-イミドシクロプロペンは加熱により2-イミドフランへと異性化することを確認している。 続いて、2-イミドシクロプロペンおよび2-イミドフランの脱イミド化反応を行った。ヒドラジンを用いてイミド部位の脱保護を検討したところ、イミド部位が一級アミンへと変換されたのち、窒素原子からの電子の押し出しによりシクロプロペンおよびフランの開環反応を伴ってシアノ基を有する鎖状化合物へと変換されることが分かった。引き続き、別の反応条件を用いてアミノ基で反応を停止させることが可能か検討する予定である。ジアゾ化合物の適用範囲を予備的に確認したところ、ジアゾエステル、ジアゾケトンで反応が進行しており、更なる適応の拡大のため、今後も種々の基質に関して検討を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初期検討としてN-アルキニルフタルイミドとジアゾマロネ-トを用いて付加環化反応/開環反応を経由する2-イミドフランの合成を行ったところ、目的としていた2-アミノフラン等価体である2-イミドフランが得られることが分かった。検討の初期段階では収率に問題点を抱えていたが、遷移金属触媒と溶媒を中心に反応条件を検討したところ、現在は収率良く目的の化合物が得られている。また、計画段階から想定していたシクロプロペン中間体の単離にも成功しており、対照実験の結果と合わせて反応機構に関する大きな手掛かりが得られている。一方で、N-アレニルイミドを用いてイミドフランの位置選択性を制御することを計画していたが、検討を行った内部アレンを有する基質では、いずれも反応が全く進行せず、現在は末端アレンなど反応性のより高い基質を合成し、基質の位置選択性の制御について探索段階である。最後に、イミド部位の脱保護については定法である加ヒドラジン分解を検討したが、1級アミンが得られず、引き続き検討の必要性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、大きく2つの内容について検討する必要があると考えている。1つは本反応の基質適用範囲の拡張である。現在のところ、本反応に用いる事ができる基質がアルキニルイミドおよびジアゾ化合物共に限定的である。そこで、得られた知見をもとにアルキニルイミド、アレニルイミド、ジアゾ化合物を網羅的に検討する。 もう1つの課題であるイミド部位の脱保護は、加ヒドラジン分解以外の方法を検討中であり、いくつかの反応条件では加ヒドラジン分解の場合とは異なった反応の傾向がみられている。現在、単離可能であったいくつかの生成物の構造に関して調査を行っている。複数の基質に対して詳細な二次元NMRでの帰属や種々のスペクトル解析を行い、化合物を同定する。その結果に応じて、脱保護に関する検討の継続または中断を判断する予定である。
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Causes of Carryover |
端数として生じたため。
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