2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K20736
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石倉 久年 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80772904)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 関節恒常性 / 滑膜 / 軟骨 / 関節運動 / 廃用関節 |
Outline of Annual Research Achievements |
関節を動かすことは関節の機能維持に重要であり、長期間関節を固定すると関節は拘縮し、軟骨は変性するが、そのメカニズムは未だ解明されていない。本研究では、廃用関節で関節変性が起きるメカニズムを検証した。 まず、生後8週の野生型マウスに対して、膝関節を非荷重かつ不動とすることで力学的刺激を消失させたMinimized mechanical stress (MMS)モデルを作成し、経時的に組織学的評価を行った。またbulk RNA-seqでの遺伝子発現をもとにIngenuity Pathway Analysis (IPA)を用いて滑膜-軟骨間のcross-talkを解析した。 MMSモデルでは2週で強い滑膜変性が起こり、その後6週で強い軟骨変性が生じた。MMSモデル2週の時点で非荷重のまま関節固定を解除すると、滑膜は正常に近い状態に戻り、軟骨の変性も抑えられた。MMSモデル軟骨の遺伝子発現データをもとにIPAによって軟骨変性の上流因子を探索すると、Spp1やIL-1βなど、MMSモデル滑膜で実際に発現が増加している液性因子が複数検出された。また、蛍光多重免疫染色を用いて滑膜変化を経時的に追うと、MMSモデルでは早期にまずマクロファージが増殖し、その後線維芽細胞が増殖、活性化した。関節内にClodronate liposomeを投与し、マクロファージを枯渇すると、線維芽細胞の活性化は抑制され、軟骨変性も抑制された。 これらによって、MMSモデルではまず滑膜の炎症性マクロファージが増殖し、それらが線維芽細胞を増殖、活性化させることで、軟骨変性を引き起こすことが示唆された。一方、関節の運動を再開させ、滑膜を正常に近い状態に戻すと、軟骨変性が抑えられた。関節運動は滑膜を介した恒常性維持に不可欠であり、さらに軟骨を含めた関節全体の恒常性維持にも貢献することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要に記述した通り、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらにcontrolおよびMMSモデル滑膜でscRNA-seqを行い、2群の滑膜間の細胞組成および細胞動態の詳細な検討を行う予定である。 また、そののち、論文投稿まで行う予定である。
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Causes of Carryover |
順調に研究が進んでいるが、必要以上に経費をかけずに済んだ。 次年度は経費のかさむ自解析等に使用する計画である。
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Research Products
(3 results)