2022 Fiscal Year Research-status Report
大規模家系ゲノムデータ解析によるDenovo遺伝子変異の父年齢効果関連遺伝子座の同定
Project/Area Number |
22K20751
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
水野 翔太 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 特別研究員 (80962969)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 父年齢効果 / デノボ変異 / GWAS / ゲノム / 遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
子のゲノムのみで検出される新規の遺伝子変異であるDe novo変異(DNM)は、集団における選択圧の影響を受けていない(受ける前の状態である)ことから、多様なヒト疾患で大きなリスクとなる。DNMは主に両親の生殖細胞での突然変異に由来するが、この約8割は父親の精子由来であり、父親の年齢依存的なDNM数の増加が知られている(父年齢効果;PAE)。このPAEによるDNM数増加には家系間での大きな差異が報告されているが、その要因は明らかとされていない。本研究では、ASD大規模ゲノムデータベースSPARKを活用し、家系WGSデータによるDNM解析と父親におけるPAEの推定およびPAEのゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施した。2022年度はSPARK batch4までの約3000家系のWGSデータセットに対し、1)GATK Haplotype Caller, VQSRによるvariantコール、および2)家系variant情報を用いたTrioDeNovoによるDNMコールを実施した。これにより、各家系の子から常染色体上における平均59(SD±13)個のDNM情報を新規に取得した。またbatch4までのSNPアレイデータセットについて、3)人種背景が既知の1000 Genome Project(1KG)のphase 3の約2500人とSPARKのアレイデータを主成分分析し、4)ランダムサンプリングにより決定した最適なk値を用いたK-Nearest Neighbor(KNN)法で、SPARKの個人を1KGの人種分類へとクラスタリングした。現在は最大の割合を占めるヨーロピアン人種のデータセットについてRICOPILIパイプラインによるGenotype Imputationを実施中である。また、SPARKの追加データセットが公開されたため、これらの入手を並行して実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたSPARK batch4までのDNM解析および人種背景の推定を完了し、Genotype Imputationに着手していることから、順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は引き続き研究計画に沿った解析を遂行する。具体的にはDNMデータについて家系ごとのPAE推定を行い、父親の表現型データ作成を進める。ヨーロピアン人種データセットに関するGenotype Imputationを引き続き実施し、上記表現型データを用いたGWAS解析を完了する。さらに予備的解析で使用したSSCデータセットをSPARKと同等のパイプラインで再解析し、SPARKおよびSSCのメタ解析を実施する。
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