2023 Fiscal Year Annual Research Report
大規模家系ゲノムデータ解析によるDenovo遺伝子変異の父年齢効果関連遺伝子座の同定
Project/Area Number |
22K20751
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
水野 翔太 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 特別研究員 (80962969)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 父年齢効果 / デノボ変異 / GWAS / ゲノム / 遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
子のゲノムのみで検出される新規の遺伝子変異であるDe novo変異(DNM)は、集団における選択圧の影響を受けていない(受ける前の状態である)ことから、多様なヒト疾患で大きなリスクとなる。DNMは主に両親の生殖細胞での突然変異に由来するが、この約8割は父親の精子由来であり、父親の年齢依存的なDNM数の増加が知られている(父年齢効果;PAE)。このPAEによるDNM数増加には家系間での大きな差異が報告されているが、その要因は明らかとされていない。本研究では、ASD大規模ゲノムデータベースSPARKを活用し、家系WGSデータによるDNM解析と父親におけるPAEの推定およびPAEのゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施した。2023年度は昨年度に得られたDNMデータセット解析により、SPARKのEUR家系の兄弟比較によるPAE推定を実施した。PAEは全体として1年あたり1.53個であり、SPARKコホートについてもこれまでのPAE研究の値と比較し同等の範疇にあることが示された。データQC後の家系の父親について、8,025,794ヶ所のSNP情報を使ったPAEのGWASを実施し、弱い関連性(P=1E-5)を満たすマーカーSNP95ヶ所を同定したが、ゲノムワイド有意水準(P=5E-8)を満たすマーカーSNPは得られなかった。また、SSCとSPARKにおけるGWAS結果について逆分散メタ分析を実施したが、この結果でもゲノムワイド有意水準を満たすマーカーSNPは得られなかった。今回同定されたDNMを用いた関連研究として、自閉スペクトラム症とプロモーター領域DNMの関連性を明らかとし、論文を投稿した。今後、追加データセットについてもDNMコールを実施し、解析対象数を増加させることで、PAEと関連性のある有力な遺伝子座が明らかとなる事が期待される。
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Research Products
(6 results)