2023 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内代謝を標的とした抗リン脂質抗体症候群の新規治療開発
Project/Area Number |
22K20752
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久田 諒 北海道大学, 医学研究院, 助教 (00832370)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 抗リン脂質抗体症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は抗リン脂質抗体症候群の責任抗体と考えられている、抗リン脂質抗体(aPL)による単球活性化の新たな機序として、細胞内代謝に着目してその分子機構を解析することを目的とした。 まずヒト単球の細胞株(THP-1)を用いて、フォスファチジルセリン依存性抗プロトロンビン抗体 aPS/PTをin vitroで添加し、単球の活性化マーカーである組織因子の発現が亢進する条件の最適化を行い、最も組織因子を発現しやすいaPLの濃度と培養時間の設定を確立した。 上記の条件下においてsea horseを用いて細胞内代謝について測定した所、有意差のある代謝を見出した。機能解析のため、該当の代謝経路を阻害する薬剤を用いて組織因子の発現を測定した所、濃度依存性に組織因子の発現を抑制することが明らかとなった。 更に、aPS/PTで刺激したTHP-1とコントロールのTHP-1を網羅的にメタボローム解析を施行した所、上記と同様の細胞内代謝経路の亢進が見られた他、別の代謝経路の有意差についても確認された。 本研究により、aPLによる刺激は単球の細胞内代謝を変動させることで活性化をきたしている可能性が示唆された。現在抗血栓療法による対症療法に留まっている抗リン脂質抗体症候群において、細胞内代謝は新たな治療標的となる可能性がある。
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