2023 Fiscal Year Annual Research Report
新規抵抗性経路の網羅的同定と解除による免疫治療抵抗性癌の克服と、分子機序の解明
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22K20758
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 能永 京都大学, 医生物学研究所, 教授 (60614013)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 免疫療法抵抗性がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、T細胞によるMHC-I欠損抵抗性がん細胞の殺傷を可能にするような新しい分子経路がないか、ゲノムワイドCRISPRスクリーニングを用いて探索した。 T細胞標的抗原であるOVAを発現したがん細胞と、MHC-I欠損がん細胞の共培養系を用意した。MHC-I欠損がん細胞(Cas9タンパクを強制発現)にゲノムワイドのガイドRNAライブラリーを導入しておき、OVA特異的活性化T細胞を共培養系に加えた。その結果、T細胞標的抗原OVA発現がん細胞はOVA特異的T細胞によって認識され殺傷される。周囲に存在するMHC-I欠損がん細胞はT細胞には認識されないが、炎症環境に対する感受性の違いによって数が増減する。このようなスクリーニングによって、オートファジーとTNFシグナル経路を標的として見出した。実際にRnf31遺伝子(TNFシグナル経路)とAtg5遺伝子(オートファジー関連遺伝子)を不活化すると、MHC-I欠損がん細胞がT細胞由来サイトカインに対して感受性化しアポトーシスによって死滅することが分かった。その分子機序として、オートファジーを阻害することで、サイトカインによる腫瘍細胞のアポトーシス誘導が増強されること、また、アポトーシスに陥ったMHC-I欠損がん細胞は、樹状細胞によってT細胞に対して効率よく交差提示され、結果として腫瘍に浸潤するIFNgあるいはTNFa産生T細胞数を増加させることを見出した。さらにMHC-I欠損がん細胞を有するがんであっても、TNFシグナル経路とオートファジー双方を薬物あるいは遺伝子操作により阻害するとコントロール可能なことを明らかにした。本研究成果は、これまで制御の困難であった抵抗性がんの新たな治療戦略開発につながることが期待される。 本成果は、2023年2月に、国際学術誌「Cancer Discovery」にオンライン掲載された。
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Research Products
(8 results)