2022 Fiscal Year Research-status Report
Quality and evolutionary control of RNA virus genome via nonsense mediated mRNA decay
Project/Area Number |
22K20759
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小森園 亮 京都大学, 医生物学研究所, 特定助教 (10964637)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | RNAウイルス / ウイルス進化 / RNA分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物が有するNonsense mediated mRNA decayシステム(NMD)は未成熟な終始コドンや異常な高次構造をもつmRNAを認識し、特異的に分解するRNA品質管理機構である。本研究は、このNMDがmRNAと同様に宿主内で複製するウイルス由来RNAを認識し、RNAウイルスの進化を左右する新たな宿主機構であるか検証することを目的としている。本研究では、急性感染性および持続感染性RNAウイルスをNMD因子ノックダウン細胞へ感染させたのち連続継代し、ウイルスゲノムRNAの配列解析を実施することで経時的なウイルス進化の追跡およびNMD因子による進化への干渉を解析している。研究開始後、急性感染性RNAウイルスのモデルとしてコクサッキーウイルスB3(CVB3)を用い、様々な細胞株への感染性を検討した結果、ヒト由来アストロサイト細胞株KINGS-1およびBecker細胞では細胞非傷害性持続感染を成立させることが明らかとなった。このCVB3感染細胞を長期間培養しても高力価で感染性ウイルス粒子を放出していることから、CVB3は急性感染性および持続感染性両者の感染モデルとして解析が可能であった。またCVB3感染細胞にNMD阻害剤を投与した結果、培養上清中のウイルスゲノムRNA量は有意に増加した。さらに、NMD因子ノックダウン細胞へのCVB3の感染性を検討した結果、コントロールと比較し同様に上清中ウイルスゲノムRNA量は増加した。現在、この急性感染性および持続感染性の両モデルを解析可能であるCVB3を用いて経時的な配列解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、急性感染性および持続感染性RNAウイルスの進化に対するNMD機構の影響を解析することを目的としている。同一のRNAウイルスCVB3で両モデルを解析可能であり、かつ必要十分なウイルスRNAを経時的に回収できたことから当初の計画以上に進展している。また、NMD機構がウイルスの宿主感染性そのものにも影響を与えていることが複数のRNAウイルスで実証できた。当初の計画通り、持続感染性モデルとしてボルナ病ウイルスとNMDの関係性も解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
経時的なウイルスゲノム配列の解析法としてショートリードNGSのほかにNanoporeによるロングリードシーケンスを検討中である。ショートリードの場合、RNA断片化により粒子中に含まれる1ゲノム配列の復元は難しい。ロングリードシーケンスの場合、1ゲノムをそのまま解読できるためウイルス配列の詳細な追跡が可能であり、NMDによる進化への影響が解析しやすい。またNMDノックダウン細胞のウイルス感染性をさらに解析し、ウイルスタンパク質とNMD因子の結合性やウイルスタンパク質のNMD阻害能、NMDノックダウン細胞に適応したウイルス変異体の分離を検討する。
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Causes of Carryover |
本年度は培養細胞を使用したNMDとRNAウイルスの感染性の解析や、CVB3を用いた持続感染性モデルの確立を検討した。研究進捗は概ね計画どおりであるが、次世代シークエンスをもちいた本格的なウイルス配列解析は今後の課題であるため次年度使用額となった。使用計画は、予定通り多くはNanoporeを含む次世代シークエンスのための消耗品購入に充てる。また現地で学会が開催される場合には旅費としての使用する。
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Research Products
(3 results)