2023 Fiscal Year Annual Research Report
上皮-免疫微小環境の恒常性維持におけるコレステロール硫酸の役割解明
Project/Area Number |
22K20761
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
秋好 紗弥香 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (70966150)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 炎症 / 乾癬 / 上皮-免疫微小環境 / 免疫細胞 / コレステロール硫酸 / DOCKファミリー分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
乾癬は、皮膚において外部の有害因子を排除するメカニズムに偏りが起きた際、上皮細胞と免疫細胞の相互作用による炎症ループが形成されるような代表的疾患であるが、炎症の継続・悪化の仕組みはいまだ不明である。 研究代表者の所属研究室では以前、Cholesterol Sulfate (CS)が、免疫細胞特異的に発現し細胞骨格因子として機能するDOCK2を阻害し、免疫細胞の遊走および活性化を抑制する機能を持つことを発見した。本研究では、乾癬様皮膚炎モデルにおいて、CSが炎症の重症化に関与する可能性に着目し解析を行なった。 皮膚におけるCSの解析の結果、その局在およびCS合成酵素Sult2b1の発現細胞を同定し、さらに炎症状態の皮膚において、CSと関与している炎症性サイトカインやケモカイン、免疫細胞を同定した。そして、CSとその阻害ターゲットのDOCK2が関連した機構により皮膚の炎症を抑制していることを明らかにした。 従って本研究では、上皮細胞において、CSと免疫細胞が関与した乾癬の病態メカニズムの一端を解明し、CSが炎症ループの病態克服のための新たな標的分子となり得る可能性も示した。よって、本疾患における炎症の継続・悪化を抑制するような、有効な治療法開発に貢献できる可能性がある。
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