2023 Fiscal Year Annual Research Report
ワクチン感受性低下を来しうるSARS-CoV-2新規変異株の予測
Project/Area Number |
22K20773
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池亀 聡 九州大学, 医学研究院, 助教 (40785193)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | SARS-CoV-2 / ワクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では水疱性口内炎ウイルス(vesicular stomatitis virus:VSV)を改変し、新型コロナウイルスのスパイク遺伝子を発現するように設計(VSV-CoV2-Sと命名)した。また、本邦での安全性の基準を満たすよう対応するために、VSVの増殖に必須の遺伝子をウイルス側から欠損させ、ウイルス側から欠損させた必須の遺伝子をウイルス以外から外部供給するよう設計した。これによりウイルスは増殖に必須の遺伝子が供給される特定の環境下でのみ増殖可能な限定増殖型のウイルスとなる。 まずはVSV作成系を構築した後に、VSVに複数回の改変を加え設計したウイルスゲノムを発現するウイルスの作成に成功した。 また、このウイルスを増殖させるための培養細胞を樹立した。具体的にはVSVのRNAポリメラーゼであるLタンパク質を恒常発現する培養細胞を作成した。次にその細胞にACE2やTMPRSS2も恒常発現させ新型コロナウイルスのスパイク依存性にウイルスが増殖できるようにした。 さらに新型コロナウイルスワクチン接種後の血清を入手し、新型コロナウイルスに対する中和能があることを確認したのちにワクチン後血清存在下でVSV-CoV2-Sを培養し逃避変異株の取得を試みた。 現状ではウイルスのスパイク遺伝子に期待したような変異が入らず、ウイルスの培養条件や血清の使用量(選択圧のかけ方)などの条件の変更方法を検討している段階であり、変異が取得できる適切な条件が見つかったのちに変異誘導実験を再度試みる予定としている。
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