2023 Fiscal Year Annual Research Report
術前liquid biopsyを用いたゲノム・RNA発現解析による肺癌術後の個別化医療の探索
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22K20788
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
木場 隼人 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任助教 (80967886)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | extracellular vesicles / lung cancer / liquid biopsy |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:周術期における複合免疫療法の展開により、肺癌切除後の予後改善が期待されているが、術後病期に加えて周術期治療の必要性を評価する方法の開発が求められている。新たな肺癌術後再発リスクのバイオマーカーを創出する。 方法:2017年から2020年に当院で肺癌手術切除が施行され、術前の血清検体が保存されている患者のうち、再発を確認、更に再発時にも血清が保存されているものを対象にした。電子カルテから臨床情報の抽出を行った。またExtracellular Vesicleは血清500μlからMagCapture Exosome isolation Kit PS Ver.2(FUJIFILM)を用いて抽出し、タンパク質の網羅的な解析はショットガンMSにて行った。共通して認められた蛋白に絞って、術前サンプル全てにおいて発現解析をDot Blotにて行い、術後予後との関連を調査した。 結果:本期間に手術施行され血清が保存されていた253名のうち、上記を満たすのは6名であった。臨床背景は、男/女=4/2名, 年齢中央値66歳(範囲54-72)、pStage ll/lll= 1/5、DFS中央値569日(範囲122-907)で、EGFR・ALK・BRAFの遺伝子異常を有する症例を1名ずつ認めた。術前から再発時に上昇するものとしてZNFxが6症例の検体から共通して見いだされた。本蛋白を253名全ての術前サンプルで評価したところ、151例で陽性であった。陽性群と陰性群の術後無再発期間に関して生存期間解析を行ったところ、陽性群で優位に予後が良かった(p=0.037, HR 0.57)。 考察:既報によるとZNFxは癌種によって発癌への寄与が異なるが、肺癌においては癌抑制因子であると報告されている。術前の採血検体を精査することで、予後不良群に対する追加治療の必要性を示唆するものと考えられた。
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