2022 Fiscal Year Research-status Report
アミノ酸制限食の皮膚と紫外線皮膚障害に与える影響の解明
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22K20790
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川上 聡経 京都大学, 医学研究科, 助教 (30438014)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 皮膚がん / 予防 / 老化 / アミノ酸 / 紫外線 / 色素細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
紫外線により引き起こされる皮膚がんである、悪性黒色腫により6万人、有棘細胞癌により6万人が、2020年に世界中で亡くなった。世界保険機構は、紫外線を皮膚がんの危険因子としてタバコやアスベストと同じ「ヒトに対して発がん性がある(グループ1)」に分類し、皮膚がんを予防すべく紫外線対策を啓蒙している。しかし、帽子や衣服、日傘、日焼け止めにより皮膚への紫外線照射量を減少させる取り組みはコストや簡便性に課題があり効果が限定的である。そのため、皮膚がんの新規予防法の開発が求められる。近年の老化研究の発展により、食事を取るタイミングや食事の組成を変えることでがんの発症を抑制するなど健康寿命を延長させる研究結果が蓄積され、ヒトへの応用が期待されている。中でもメチオニン/システイン除去食には抗老化作用だけではなく、虚血による肝臓障害を緩和する細胞保護効果が報告されている。しかしながら抗老化作用を認める食事が皮膚がんの予防を含む皮膚に与える影響を詳細に検討した報告はない。本研究の目的は「アミノ酸制限食のマウス正常皮膚と紫外線誘発皮膚障害に与える影響」を解明し、食事による皮膚がんの予防へと展開することである。 メチオニン/システイン制限食が紫外線による皮膚障害の防御・修復機構に与える影響を検討するために、皮膚・毛にメラニンが無いTyrc/cの遺伝子型を有するC57BL/6マウス(生後8週齢)に、コントロール食またはメチオニン/システイン制限食を7日間与え、皮膚に紫外線(UVB(200mJ/cm2))を1回照射し、紫外線による皮膚障害の程度を検討する実験をする準備を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
メチオニン/システイン除去食の作成依頼と製造に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
Tyrc/cの遺伝子型を有するC57BL/6マウスを用いた実験を通して、メチオニン/システイン制限食が紫外線による皮膚障害の防御・修復機構に与える影響を検討するために必要な紫外線(UVA/UVB)照射量などの実験条件、皮膚障害を評価するタイミング(紫外線照射24/48時間後)と評価指標(各種免疫組織化学染色)を見出す。得られた実験条件を用いて、メチオニン/システイン制限食が、紫外線照射の有無により、皮膚細胞の遺伝子発現へ与える影響を検討する。
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Causes of Carryover |
実験準備に時間を要し実験開始が遅れたため次年度使用額が生じた。次年度使用額は、実験準備が整ったため、次年度に計画した実験を行うために使用する。
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