2023 Fiscal Year Annual Research Report
膵臓がんの線維化と転移を同時制御する新しい治療戦略
Project/Area Number |
22K20793
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
友信 奈保子 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (80967638)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 膵臓がん / S100A11 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵臓がんは極めて予後不良のがんであり、特にがん間質線維芽細胞が膵臓がんの治療困難性や転移を増大させることが問題となっており、間質細胞を標的とした次世代型治療法の確立が望まれている。この問題を解決するべく、我々は最近、膵臓がんが放出するS100A11タンパク質が、間質線維芽細胞膜状に発現する受容体であるRAGEにパラクラインとして作用することで、膵臓がんの成長と転移を著しく加速することを見出した。さらに、当研究室で開発したデコイ製剤であるexRAGE-Fcが膵臓がんにおける間質の増大を強力に抑制し、血中循環がん細胞(CSTs)の数の増大をも抑制するという成果を得た。これらのことから、S100A11とそれら受容体群の遮断が、膵臓がん原発巣における間質増大と浸潤抑制に効果的であると考え、S100A11中和抗体を開発することを目的とした。昨年度は、複数あるS100A11中和抗体のうち、2量体化S100A11に特異的に結合するクローンを選定することができた。当該年度は開発中のS100A11抗体の効能を評価した。膵がん細胞と線維芽細胞の共培養系により、S100A11中和抗体による膵がん細胞の遊走能・浸潤能の減弱、線維芽細胞の活性化に関わるS6リン酸化の抑制および増殖の抑制を観察した。以上のことから、膵臓がんとがん間質線維芽細胞の増大に対するS100A11中和抗体の有効性を検証することができた。
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Research Products
(23 results)