2022 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞癌におけるカスタム遺伝子パネルを用いた循環腫瘍DNAの検出と有用性の探求
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22K20794
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤井 康智 広島大学, 病院(医), 医科診療医 (80964478)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 循環腫瘍DNA / 肝細胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、研究計画study1に示す通り、TP53、TERT、CTNNB1の3-gene panelを用いて検出された循環腫瘍DNA((ctDNA)と組織DNAの変異がどの程度一致しているかを検証し、またバイオマーカーとしての機能を評価するために、2014/3から2021/5の期間で、切除症例、腫瘍径>3cm、AFP/PIVKAⅡ陰性を満たす30例を抽出し、腫瘍DNAおよび末梢血リンパ球DNAと、cell-free DNAを、 3-gene panelを用いてライブラリー調整後、次世代シークエンス、バイオインフォマティクス解析を行った。腫瘍DNAでは、TERT promoter変異が30例中19例、TP53変異が 9例、CTNNB1変異が4例であった。一方cell-free DNAでは、ctDNAとしてTERT promoter変異が30例中3例、TP53変異が 9例、CTNNB1変異が1例しか検出されなかった。ctDNAで検出されたTERTとCTNNB1変異は、全て腫瘍での変異と一致していたが、TP53変異は9例中1例のみしか一致していなかった。十分なcoverageが確保できなかった症例11から20、腫瘍・ctDNAいずれの変異も検出されなかった4例、およびctDNAでクローン性造血の可能性が考えられた症例 (腫瘍で検出なくTP53変異頻度1%未満) の2例除いた14例で検討した結果、ステージが高く、腫瘍個数が多く、最大径が大きい症例ほどctDNAの検出率は高いことが示された。 今回の研究では、対象となった症例は全体的にステージが低く、腫瘍量も少ないため、ctDNAの検出率が低かったことが考えられた。検出率が低く、検出された症例数が少なく十分な検討ができなかったため、今後はより進行例(StageⅢ以上)の症例に焦点をおいた再検討を行う必要があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腫瘍組織DNAと循環腫瘍DNAの比較を行う検討が行えたが、予想された以上に循環腫瘍DNAの検出率が低く、また一部のプールされたサンプルがうまくシーケンスで増幅できておらず、再検討が必要な結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はctDNAのより高い検出率が期待できる進行例(StageⅢ以上)の症例に焦点をおき、研究を継続する。
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Causes of Carryover |
研究方法の再検討のため、遅れた実験に関する経費が次年度必要額となった。次年度の実験用消耗品として使用予定である。
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