2022 Fiscal Year Research-status Report
多発性骨髄腫における細胞外小胞を介した新規免疫調節薬耐性化機構の解明
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22K20803
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
山元 智史 東京医科大学, 医学部, 助教(特任) (40963369)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 多発性骨髄腫 / 細胞外小胞 / 薬剤耐性 / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の実績として、まずはLAMP2、SORT1過剰発現株の作成を行い、その細胞外小胞(Extracellular Vesicles; EV)の表面マーカー解析・分泌量の変化や、レナリドミド耐性への寄与の確認、シグナル活性化機能の有無などを行った。その結果、LAMP2、SORT1過剰発現株は対称群と比較して、これまでのレナリドミド耐性株での検討と同じように、EVの分泌量が上昇しており、EVの分泌にLAMP2、SORT1の関与が認められた。また、レナリドミド耐性株が分泌するEVにはSORT1分子が表面に存在していることが明らかとなっている。作成したLAMP2、SORT1過剰発現株において、SORT1過剰発現株においてEV上のSORT1分子が増えることを確認した。また、興味深いことに、LAMP2過剰発現株においてもEV上のSORT1分子の発現上昇が確認できた。このことはLAMP2とSORT1の発現には何らかの関係があることを示しており、LAMP2の発現がSORT1の発現を制御しているという我々が当初に立てた仮説を支持する結果となっている。 また、レナリドミド耐性株においてSTAT3の発現亢進とそれに伴ったSTAT3のリン酸化の亢進が確認できている。LAMP2、SORT1過剰発現株におけるSTAT3の発現亢進は確認できた。しかし、SORT1はFAK、AKT経路への関与も報告があることからSTAT3以外の生存シグナルの発現についても検討が必要であり、次年度の検討課題である。また、LAMP2、SORT1ノックダウン株においてSTAT3の発現低下が確認できているが、そこにSORT1が発現しているEVを投与することでSTAT3の発現低下がレスキューされるのか確認する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度から継続して行っていたレナリドミド耐性株とLAMP2、SORT1過剰発現株の作製に成功した。LAMP2とSORT1の発現の関連性についてLAMP2がSORT1の発現を制御するという仮説を支持するデータが得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、未実施であるレナリドミドの標的であるセレブロンとの関連性について免疫沈降法などを用いて検討予定である。レナリドミド添加により、LAMP2の発現が上昇する。つまり、レナリドミド添加によってセレブロンの基質特異性が変化し、LAMP2の脱ユビキチン化により、LAMP2の分解が抑制されている可能性がある。 LAMP2ノックダウン株に耐性株由来のEVやSORT1過剰発現株由来EVを添加することで抑制されたSTAT3などが再び活性化するのか確認する。また、レナリドミドと同効薬であるサリドマイド、ポマリドミドについても同経路での薬剤耐性化機構が存在するのか確認する。 以上によってLAMP2、SORT1によるEVを介したレナリドミド耐性の分子メカニズムを明らかにする予定である
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Causes of Carryover |
今年度予定していた免疫沈降法などの実験が細部株樹立に時間を要したため未実施である。それに関わる物品費用などが計上されていないことが原因である。細胞株樹立には成功しており、今年度行うことができなかった実験に関しては次年度に全て行う予定である。
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Research Products
(1 results)