2022 Fiscal Year Research-status Report
FOXO3活性化による胃がん悪性化機構の解明と臨床効果の検証
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22K20817
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
辻 敏克 金沢大学, 附属病院, 助教 (00833104)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | FOXO3 / 胃がん / 悪性進展化機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らが構築した活性化型FOXO3を核誘導できるマウスモデル(FOXO3-Actマウス)および悪性化進展した胃がんマウスモデルを用いて胃がんの悪性化機構におけるFOXO3の役割を明らかにすることを目的としている。 ① 浸潤性胃がんモデルにおける活性化FOXO3の機能解析:Ganマウスは腺管型胃がんが自然発生するマウスモデルである。GanマウスにKras G12D変異、Tgfbr2欠損変異、p53 R270H変異を導入した悪性化進展胃がんモデル(Gan-KTPマウス)は、がんの浸潤・転移を再現したモデルである。Foxo3-ActマウスとGan-KTPマウスの交配により得た複合変異マウスを用いて、EMTやリンパ節転移、遠隔転移などの過程におけるFOXO3の役割に関して病理解析を行う。現在マウスの交配を進めていくところである。② オルガノイド同所移植による活性化FOXO3の機能解析:①で作製する複合マウスはKras変異による組織異常が肺でも認められるため、長期生存での転移能を観察することが困難な場合がある。その場合は、Foxo3-Act Gan-KTPマウス胃粘膜上皮からオルガノイドを樹立し、同系マウスの胃粘膜下組織あるいは脾臓に移植する。悪性化進展プロセスにおけるFOXO3の役割について病理解析により明らかにする。こちらに関しては、マウス実験が進んでいないため、未施行である。③ ヒト胃がんオルガノイドのPDXマウスへの移植によるFOXO3の機能解析:ヒト胃がん転移巣からオルガノイドを樹立し、マウスへの移植を行い、転移形成の有無、FOXO3の局在、PI3K/AKT阻害薬によるFOXO3核蓄積等を検証する。ヒト胃がん組織よりオルガノイドを作成しているが、転移巣からのオルガノイドの作成が難渋している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ヒト胃がん組織において、原発巣および転移リンパ節からオルガノイドを作成しているが、転移リンパ節のオルガノイド樹立の成功率が低いことで進捗が遅れている。これまでの経験から原発組織よりも細胞の増殖にはより時間を要することがわかった。 ヒト胃がん組織のオルガノイド作製に時間を要していたため、マウス実験が滞っていることも計画が遅れている原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス交配実験は目的遺伝子変異をもったマウスの獲得に時間を要するため、凍結保存されているKTPマウスのオルガノイドに活性型FOXO3をtransfectionすることでFoxo3-Act Gan-KTPマウスの胃粘膜上皮からオルガノイドを作製した状況と同じ細胞を得ることができる。これによりマウス交配に要する時間はなくなり、計画は推進できると考えられる。ヒト胃がんの転移組織からのオルガノイド作製も並行しておこなう。
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Causes of Carryover |
実験回数が少なかったため残額が生じた。次年度は不足分の実験を施行予定であり次年度使用額を充てる予定である。
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