2023 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌分子サブタイプの可塑性の解明とその作用機序に基づく新規診断治療法の開発
Project/Area Number |
22K20819
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
馬場 泰輔 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (30962782)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 膵癌分子サブタイプ / 可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、膵癌分子サブタイプの可塑性(Basal-like-to-Classical shift)の制御因子の同定を試みた。まず、膵癌患者腫瘍組織移植モデル(PDXモデル)とPDX由来細胞株の遺伝子発現プロファイルの比較から、Subtype Programの可塑性を制御している可能性のある遺伝子を探索した。候補遺伝子としてTFFs(TFF1/TFF2/TFF3)を同定し、我々のデータだけでなく、公開データセットでも同様の傾向にあることが確認された。次に、公開されている膵癌single cell RNA-seqデータをダウンロードし、Trajectory解析を行なった。Un-splicedなmRNAプロファイルの類似度から計算したPseudo-timeは、Basal-likeからClassicalへと向かうことが明らかとなった。TFFsの未熟なUn-spliced mRNAと成熟mRNAの分布には大きな乖離があり、TFFsがBasal-like→Classicalの流れと共に成熟していく様子が観察され、subtype programの柔軟性に関与している可能性が示唆された。しかしながら、2次元培養細胞株は基本的にBasal-likeにshiftされており、TFFsの発現もほとんどないことから、Classical programへのshiftを検証するのに2次元培養は適切でないと判断し、in vivo実験系として鶏卵漿尿膜法(CAMモデル)を確立した。PDX由来の低継代細胞株を移植したCAMモデルでは、細胞株に比べTFF1・TFF2の発現が顕著に上がることを確認した。最後にsiRNAを用いたTFF1ノックダウンで、膵癌分子サブタイプの各種マーカーを顕著に抑制することを示した。以上のことからTFF1は膵癌分子サブタイプの制御因子であることが示唆された。
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