2022 Fiscal Year Research-status Report
固形腫瘍への抗腫瘍効果を劇的に向上させる新規因子を導入したiPS細胞由来T細胞の開発
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22K20821
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石川 晃大 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (30966049)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 再生T細胞 / 遺伝子改変T細胞療法 / 固形腫瘍 / 腫瘍免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
iPS-T細胞の遊走能・長期生存能・細胞傷害活性能をすべて向上・維持させる因子を抽出・発現させ、固形腫瘍に対する抗腫瘍効果の向上を検証するため、申請者が発見した有用遺伝子(国際誌投稿中)を発現したiPS-T細胞を作製し、皮下腫瘍モデルNSGマウスに静脈投与した。投与後14日目に腫瘍内に浸潤したヒトCD45、遺伝子導入の際に使用したレポーター遺伝子のmCherry両陽性細胞をフローサイトメトリー機を用いてソートし、腫瘍内浸潤iPS-T細胞を取得した。その際に有用遺伝子を発現させた末梢血由来CD8T細胞をコントロールに置き、その遺伝子発現をscRNA-seqを用いて解析した。その結果、有用遺伝子を発現したiPS-T細胞は複数のクラスターに分かれることが分かった。驚くべきことに、非有用遺伝子発現iPS-T細胞と比較して有用遺伝子発現iPS-T細胞は遺伝子発現が大きく異なり、そのクラスターが末梢血由来CD8T細胞と同様に十分に分かれる結果となった。次に有用遺伝子を発現したiPS-T細胞と非有用遺伝子発現iPS-T細胞、又は末梢血由来CD8T細胞と比較してどのような遺伝子発現変化が生じているか比較・評価を行った結果、T細胞にとって機能的な遺伝子が存在するクラスターで有用遺伝子を発現したiPS-T細胞は多く存在することが分かった。現在、そのクラスター内、又は、クラスター間で解析を行い、遺伝子の抽出に取り組んでいる最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初はAmpliseqを用いたbulk RNA-seqを行う予定だったが、より詳細な解析のためscRNA-seqに変更した。その際にBI解析を外注したため2022年度内の因子抽出が間に合わなかった。2023年4月現在、因子の抽出は継続して実施中であり、一部因子についてはT細胞への遺伝子導入が完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
抽出した遺伝子を発現したiPS-T細胞を作製し、長期生存能・細胞傷害活性能・腫瘍への遊走能に関連した遺伝子の発現量が向上しているかを確認する。さらにターゲット細胞と共培養した際に非遺伝子発現細胞と比較してなぜ有意な差が生じたか、分子生物学的解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
scRNA-seqを行った結果、遺伝子の抽出が計画より遅れが生じている。その結果、抽出した遺伝子をベクターにクローニングする費用や培地、サイトカインなどを購入しなかったため使用額に差が生じてしまった。
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