2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K20822
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 理絵 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (30966536)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | オルガノイド / 放射線療法耐性 / 化学療法耐性 / 初代培養 / 大腸癌 / 癌幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大腸癌細胞株および大腸癌より樹立した初代培養細胞「オルガイド」を用いて、放射線および化学療法の耐性メカニズム解明と癌幹細胞との関連の検討を行うことを目的としている。 術後再発や局所進行等の難治性大腸癌に対して放射線化学療法を行うが、効果に乏しい症例も多い。これらは、耐性獲得が臨床的に大きな問題であり、腫瘍細胞の可逆性および不均一性が影響している。不均一性には癌幹細胞が関与しており、治療後も幹細胞が残存し再発に至るという報告もある。耐性メカニズムは、癌幹細胞と密接に関連していると考えられる。 初代培養細胞はより生体内のがんに近く、がんの増殖や転移に関わる新しいメカニズムの解明や新規治療薬の開発につながるとされている。我々のグループでは、患者の臨床検体から癌細胞の多様性を保持したまま in vitroで安定的に2D/3Dで培養するオルガノイドを構築し、研究を行ってきた。癌細胞株は増殖能を獲得した比較的均一な細胞で、生体内のがんとは異なることから、実験結果と実臨床の結果が一致しないという問題があった。一方、オルガノイドは臨床検体から直接樹立された初代培養細胞であり、臨床における癌の増殖や転移に関わる新しいメカニズムの解明や新規治療薬の開発につながるマテリアルとして近年期待されている。樹立と解析結果の再現性が乏しいことからオルガノイドを研究に使用できる施設はまだ少ないが、我々は大腸癌において安定的な培養法を確立した。この技術を活用し、オルガノイドでの多様性を用いることで、耐性メカニズムの解明に繋がる可能性が高いと考えている。放射線および化学療法耐性と癌幹細胞との関連について、オルガノイドを用いて癌幹細胞マーカーの特定を行っており、その機能的意義や治療耐性との関連について解明を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の計画としては、放射線および化学療法耐性について微小環境での検討として癌幹細胞マーカーの特定を行い、その機能的意義や治療耐性との関連について特定を進める。そして耐性を獲得したオルガノイドをマウスに移植し、動物実験によるデータ解析を予定している。その後臨床応用を目指した検討を行う予定であるが、初年度で微小環境での検討は進められており、概ね予定通り進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度において放射線および化学療法耐性について微小環境での検討として癌幹細胞マーカーの特定を行い、その機能的意義や治療耐性との関連について特定を進めてきた。今後は、動物実験として放射線耐性については複数照射で耐性獲得したオルガノイドをマウスに同所移植し、腫瘍増大スピードや遠隔転移等の悪性度の変化について評価予定である。化学療法に関してもpopulation変化のある分画をマウス移植することで局所での悪性度および遠隔転移のしやすさを検討していく予定である。その後、放射線・化学療法によるCD44low・highの変化に関与する経路を阻害し、腫瘍中の癌幹細胞を抑制することで治療抵抗性の解除を目指し、臨床応用について検討していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
施設が有している機械を使用することで物品費と外注費などを抑えることができたため、次年度への繰り越し費用が発生した。次年度に動物実験を予定しており、抗体などの試薬含め使用予定である。
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