2023 Fiscal Year Annual Research Report
新規胃がんマウスモデルの作成及び腸型-びまん型移行を誘導する分子メカニズムの解明
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22K20836
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
山崎 淳太郎 藤田医科大学, 腫瘍医学研究センター, 博士研究員 (10963580)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 胃がん / 転移 / 浸潤 |
Outline of Annual Research Achievements |
胃がんは組織学的な特徴に基づいてIntestinal-type、Diffuse-type及びMixed-typeに分類されている。Mixed-typeはそれ以外の非混合型と比べて予後が悪く、 またその腫瘍内不均一性から単一の抗がん剤に対する抵抗性を有すると考えられ、新たな治療法が求められている。各組織型の発生機序の理解や浸潤・転移に対する治療法を開発するためには、実際の胃がんの病態を模した動物モデルを用いて、腫瘍―微小環境相互作用を含めた分子病理学的背景をより深く知ることが重要である。また以前から、胃がん細胞が性質変化を起こすことでIntestinal-typeからDiffuse/Mixed-typeへと組織型が移行する可能性が示唆されているが、その機序については明らかになっていない。これまで申請者はIntestinal-type胃がんのトランスジェニックマウスであるGANマウス(K19-Wnt1/C2mEマウス)の胃腫瘍から樹立したオルガノイドのがん抑制遺伝子Trp53をノックアウトし、変異型KrasG12Vを導入することで、高い浸潤・転移能を有するIntestinal-type胃がんの組織型を再現することを示してきた。本研究ではこれまで樹立したGANマウス腫瘍由来オルガノイド(Intestinal-type胃がん)に対してDiffuse-type胃がんに特異的な遺伝子変異を模倣してCdh1をノックアウトしたDiffuse-type胃がんの新規モデルを樹立した。このDiffuse-typeモデルではIntestinal-typeに比べて顕著に腹膜播種や腹水の増加を引き起こし、ヒトのDiffuse-type胃がんによく似た豊富な間質を含む組織像を呈した。このモデルを用いることでDiffuse-type胃がんのより詳細な腫瘍―微小環境相互作用を明らかにすることが可能となった。
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