2023 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌腹膜播種転移初期過程における腫瘍関連マクロファージを標的とした新規治療薬開発
Project/Area Number |
22K20841
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Research Institution | Kanagawa Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
川瀬 航 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), 臨床研究所がん治療学部, 研究員 (70966605)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 腹膜播種 / 胃癌 / 腫瘍関連マクロファージ / 転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
腹膜播種は胃癌において最も頻度の高い転移形式であり、極めて予後不良である。腹膜播種は抗癌剤による化学療法が中心となるが、有効な治療法は未だに確立されていない。本研究では、胃癌腹膜播種形成のメカニズムを理解し、治療標的の探索を目的とした。胃癌腹膜播種転移の初期過程から転移形成に至る腹腔内の微小環境を検討するため、胃癌洗浄腹水と胃癌癌性腹水のフローサイトメトリー解析を実施した。細胞診陽性(CY1)の胃癌洗浄腹水においてマクロファージ(Mφ)、特にM2型Mφが豊富に存在することが明らかとなった。CY1に特徴的なMφの性質を調べるため、Mφを含むCD11b陽性集団を分離し単一細胞RNA-seq解析を実施した。クラスタリング解析をしたところ、CY1の胃癌洗浄腹水において特徴的なクラスターが存在した。CY1胃癌洗浄腹水のクラスターにおいて特徴的に発現する遺伝子を調べたところ、血管新生の促進や免疫反応の抑制に関連する遺伝子が豊富に含まれていた。これらの結果から、CY1胃癌腹腔中に存在するMφは血管新生や免疫抑制を介して腹腔内の腫瘍細胞の生存や増殖を促進している可能性が示唆される。また、治療標的となりうる遺伝子を複数選定し、胃癌のTCGAバルクRNA-seqデータを用いて生存解析を行った。いくつかの遺伝子の発現が高い症例は発現の低い症例に比較して予後不良であった。そのため、これらの遺伝子は治療標的となりうる可能性がある。今後は候補遺伝子についての発現量を定量的PCRで測定し、胃癌腹膜再発など臨床情報との相関を調べる。さらに、候補遺伝子に対する分子標的薬を選択し、マウス腹膜播種モデルを用いて腹膜播種の治療効果の検討を行う。
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Research Products
(1 results)