2022 Fiscal Year Research-status Report
The non-canonical NF-kB pathway in regulatory T cells
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22K20868
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐藤 洋平 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (50753349)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 制御性T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
制御性T細胞における非古典的NFκB経路の果たす役割を明らかにするため、制御性T細胞に似た性質を持つMT-2細胞と末梢血より単離した制御性T細胞の解析を行った。エフェクターT細胞に比較して、制御性T細胞において非古典的NFκB経路に関連するNFKB2,RELBの発現亢進が見られた。この事から、非古典的NFκB経路が制御性T細胞の機能維持に関して、何らかの役割を果たしている可能性が推測された。 さらに、NFKB1とNFKB2をCRISPR/Cas9によりノックアウトしたMT-2細胞と制御性T細胞を作成したところ、特にNFKB2をノックアウトした場合に、いずれの細胞においてもFOXP3遺伝子の発現低下並びに制御性機能の低下が認められた。一方で、NFKB1をノックアウトした場合には、FOXP3遺伝子の発現低下や制御性機能の低下は認められなかった。これらの結果から、制御性T細胞は非古典的NFκB経路を通じて、FOXP3遺伝子の発現や制御性機能を維持していることが推測された。 さらに、NFKB1とNFKB2をCRISPR/Cas9によりノックアウトしたMT-2細胞からRNAを抽出し、RNA-seqによる網羅的遺伝子発現解析を行なったところ、NFKB2をノックアウトした場合においてFOXP3に関連する遺伝子が低下していた。これらの変化はJurkat細胞で同様の実験を行なった際には見られなかったため、非古典的NFκB経路は制御性T細胞の機能維持に関連している可能性が示唆された。NFKB1とNFKB2をCRISPR/Cas9によりノックアウトした制御性T細胞からもRNA抽出を試みたが、質・量いずれも不十分であったため本年度は解析ができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、MT-2細胞並びに制御性T細胞の機能解析を行い、NFKB1とNFKB2をCRISPR/Cas9によりノックアウトしたMT-2細胞と制御性T細胞の作成を行った。特にNFKB2をノックアウトした場合に、FOXP3遺伝子の発現の低下並びに制御性機能の低下が認められた。これらの結果から、制御性T細胞は非古典的NFκB経路を通じて、FOXP3遺伝子の発現や制御性機能を維持していることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は造血幹細胞を用いて、NFKB1とNFKB2をCRISPR/Cas9によりノックアウトを行い、T細胞や制御性T細胞の生体内における分化にどのような影響が出るかを解析する予定である。
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Causes of Carryover |
当初はNFKB1/NFKB2をノックアウトした制御性T細胞のRNA-seqを行う予定であったが、十分な細胞数が確保できず残しておいた予算を使用しきることができなかった。
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