2023 Fiscal Year Annual Research Report
トリプルネガティブ乳がんの早期発見を可能とする新規分子標的型ペプチド薬剤の開発
Project/Area Number |
22K20870
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
原 史子 武庫川女子大学, 薬学部, 嘱託助手 (40966595)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | トリプルネガティブ乳がん / ペプチド / イメージング / 核医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
トリプルネガティブ乳がん(Triple Negative Breast Cancer:TNBC)は、転移や再発が起こりやすい悪性度の高い難治性のがんである。しかしながら、明確な治療標的が存在しないため、早期診断を可能とする薬剤や有効な分子標的薬剤が開発されていない。そこで、本研究では、TNBCの早期診断・治療を実現する分子イメージングプローブの開発を目指し、TNBCに高発現しているMucin(MUC)16を標的とする放射性薬剤を開発することを目的とした。MUC16に親和性を示す12アミノ酸残基からなるEVQペプチドに放射性ヨウ素を標識した薬剤を設計、合成し有用性を評価した。 EVQペプチドには末端と側鎖に2つアミノ基が存在しており、2か所で放射性ヨウ素標識が可能であるため、末端に標識したプローブ1とペプチド鎖中の側鎖に標識したプローブ2を設計した。昨年度は、プローブ1,2の安定同位体ヨウ素標識体を合成し、液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)を用いて細胞集積性を評価するための実験プロトコルを構築した。本年度は、MUC16高発現細胞とMUC16低発現細胞を用いたプローブ1,2の機能評価およびマウス血漿中の安定性評価を実施した。プローブ1,2の細胞集積性を評価したところ、末端に標識したプローブ1がMUC16高発現細胞に有意に集積することが明らかになった。また、アミノ酸配列をランダム化した12残基のスクランブルペプチドはMUC16高発現細胞に集積しなかったことから、EVQペプチドの配列がMUC16への結合に重要であることが確認できた。一方、プローブ1,2はマウス血漿中では安定性が十分でないことが示唆されたため、今後、プローブの生体安定性の向上を目指し、環化体の設計や非天然型アミノ酸の導入を検討する予定である。
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